15年を越えてようやく当初の目標に立った。個性を明確化したサロンづくりで、店舗数急増を実現 -10年サロン「Magico」のブランディングストーリー後編

2016年〜現在 店舗急増期

スタッフの声で下北沢以外のエリアに出店

 

 

2016年には、原宿に『HARAJUKU(現FAM by Alan Smithee)』というサロンをオープンしました。下北沢以外のエリアに出店するのはこれがはじめて。きっかけは、あるスタッフの意見でした。当時のマネージャーの知り合いを新たに採用したら、その子が「原宿でやりたい」と言うんです。当時はまだ下北沢にしかお店がないのに(笑)。

 

だけど、せっかくやりたいと言うので、新たに場所を借りて、その子ともうひとりのスタッフの2名で『HARAJUKU』をスタートさせました。そしたら、これが大正解。『HARAJUKU』は勢いあるスピードで成長し、現在の『Magico』グループの強みである若年層向けマーケティングの先駆けになりました。

 

ほかにもスタッフから上がった声をもとに新たなコンセプトの店舗を出店しています。例えば、2017年に青山にオープンした『anthe M』は、ベテランスタッフによる新たなお店です。よりお客さまと向き合い、トリートメントや縮毛矯正など、大人向けビューティに特化しました。

 

こちらから「こんなコンセプトでやる」と押し付けるのではなく、スタッフから上がった声を軸にすることで、よりみんなが生き生きと積極的に働いて成長しているように思います。また、一つ事例ができると、みんなも声を上げやすくなる。これが、急激な勢いで店舗数を増やしているポイントだと思います。

 

また、複数エリアに出店する一方で、下北沢エリアへも出店を続けています。『Magico』を長く経営していたので、不動産屋さんがいい物件を紹介してくれるようになっていたんです。2017年に『em HAIR』、2018年に『MOTHER』、2019年に『Thema』と、出店を重ねていきました。

 

GARDEN』やHグループとのコラボは飲み屋から生まれた

 

 

この時期はとにかく新規出店を重ねていたので、それを面白いと思ってくれる仲間が増えましたね。もともとあるお店ではなくて、まっさらな状態から作り上げられるところがよかったのかもしれません。

 

例えば、大手サロンの下北沢の店舗が閉店したときに、ちょっとした会話からそこのスタッフが何人か『Magico』グループに入ってくれたことがあります。実はこのとき、ちょうど不動産屋さんから新たな物件を借りたばかりだったので、「場所はあるから好きにやったらいいじゃん!」って話したら本当に来てくれて(笑)。結局そのスタッフだけでサロンを出すということはなかったのですが、その姿勢を気に入ってくれたようです。

 

ほかにも、『GARDEN』とのコラボヘアサロンブランド『GAME by Alan Smithee』や、Hグループとコラボレーションした『Alan Smithee 吉祥寺』の出店も行っています。どちらも飲み屋でお互いの困りごとを話していたら、いつの間にか盛り上がってコラボが決まりました(笑)。

 

GAME by Alan Smithee、右:Alan Smithee 吉祥寺(イメージ)

 

 

ただ、話をすれば必ずコラボになるかというと、そういうわけではないんですよね。2つのケースに共通しているのは、まずは気軽に話せる仲間だったということと、たまたま出店できる場所があったこと。『GAME by Alan Smithee』を出店したのは『GARDEN』が撤退を考えていると話してくれた店舗ですし、Hグループとのコラボは僕が店舗を契約し、どうしようか考えていたときに声をかけて実現しました。

 

だから、コラボが決まった段階ではコンセプトなどはまだなく、まっさらなんです。「一緒にやらない?」からはじまって、コンセプトを決め…と、共同で作り上げていく作業はいつもワクワクしますね。

 

ちなみに、多くの店舗についている「Alan Smithee」は、1960年代から1999年にかけてアメリカ映画で使われていた架空の映画監督です。何らかの理由で監督のポストが空席になったときや、監督の名前を伏せたいときに使われていた名前。そこからとって「特定の誰かのものではない」という意味でサロン名に使いはじめました。コラボサロンにつけるつもりはなかったのですが、その由来を相手も気に入ったので「Alan Smithee」とつけています。

 

独立しなくても挑戦できる環境を作ったことが離職の低下に

 

 

2016年から2019年まではハイペースで出店したので、周囲からは「宝くじでも当たったの?」「余命でもあるの?」「思春期なの?」など、いろいろ聞かれます(笑)。でも、僕としては2015年に『Alan Smithee』を出店したのと同じことをやっているだけなんですよね。

 

組織を成長させるために、店のコンセプトを明確化する。そうするとスタッフもお客さまも最適化された人が集まって、自然にサロンが成長する。そこで店舗を分けることで、スタッフはより自分のスタイルに近い場所で働けます。

 

ほかのサロンがこうならないのは、スタッフが独立してしまうからではないでしょうか。けれど、独立するのと同じように自分のやりたいことに取り組んだり、自身でマネジメントまでしたりという新たな挑戦の場があれば、独立する必要がなくなるんです。『Magico』グループは基本的にスタッフにやりたいようにやらせつつ、みんなをサポートしているので、離職を抑え、全員で成長できるのだと思います。

 

>誰もが理想的に働ける職場を目指して

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