嫌がられる出店でイメージを高める。ブランドを第一に考えてきた美容室の未来―10年サロン「KATE」のブランディングストーリー後編
未来 戦略アイデア発展期
「ここに出すのかよ!」と思われるような店舗展開を目指して
熊本だけじゃなく、表参道の次なる一手も考えています。表参道店が手狭になっていますし、代表が2人いるからこそもっと展開できるという思いもあって、ここ一年ほどはずっと物件を探しています。
なんというか、僕は美容師さんが嫌がるような店舗展開がしたいと思っているんです(笑)。
思わず「うわ、ここに出すのかよ!」と思うような。そうすればお客さまや業界からも注目されるし、ブランディングの一つになるかもしれません。すごくメジャーになりたいわけではないけれど、「なんか変わってるよね」って思われるようなサロンを目指したいんです。
次なる展開としてもう1店舗出すのか、拡張移転するのか、何が正解なのかは考えている最中です。店舗展開していきたいという思いは持ちつつも、ブランドのイメージを何より大切にしていきたいです。
それぞれが、自分の仕事に責任を持って働けるサロンに
『KATE』は2020年で10年目を迎えます。自信を持って紹介できるスタッフがたくさん育ってきました。彼ら、彼女らの存在をもっと世の中に知ってもらうために、自分にできることをやっていきたいです。自分が考えていることを伝えながら、スタッフが思う『KATE』も教えてもらって、みんなでブランドを作っていけたらいいなと思っていますね。
そのためにも、今後はスタッフとのコミュニケーションの機会を増やしていきたいと考えています。スタッフ間の仲はいいし、働きやすい環境を作っているつもりですが、それでも小さな不満は生まれる。それを一人で抱えることなく、意見を言いやすい風通しのいい組織を作っていきたいです。
組織作りに取り組む一方で、僕自身は生涯美容師でいたいと思っています。僕が一番輝けるのは、やっぱりサロンワーク。自分の背中を見て育ってほしいという考えもあります。
雇っているスタッフたちの幸せを考えながら、僕ができることは僕がやって、できないことは助けてもらう。そして、それぞれが自分の仕事に責任を持って働けるサロンを作っていきたいと思っています。
- プロフィール
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KATE
代表/木下公貴(きのしたきみたか)
宮崎城県出身。熊本ベルェベル美容専門学校熊本のベルエベル専門学校卒業。「SHIMA」に15年勤務。銀座店の店長、エグゼクティブ・スタイリストとして活躍しその後2011年5月に独立し、KATEをオープン。2018年には2店舗目を熊本へオープン。「だれもが触れたくなるようなヘアーを作る」をモットーに、次の日からも形になる再現性の高いヘアスタイルや外国人風ニュアンスウエーブなどが得意。
(取材・文/小沼理 撮影/河合信幸)