初の経営難を経験して。真面目に仕事と向き合えば、どんな困難でも乗り越えていける-10年サロン「FAVORITE GARDEN」のブランディングストーリー後編
2014年〜2016年 経営ピンチ期
店長の独立で売上が大幅ダウン。初めて銀行で借り入れ準備をした
2014年、『FAVORITE GARDEN』は10周年を迎えました。このタイミングで、店舗を全面改装しています。2011年の増築からセット面が2面増えて8面に、シャンプー台は1台増えて5台に。さらにネイルブースも新設しました。
増築や改装を繰り返していることからもわかる通り、当時の経営は好調でした。ところが、全面改装の直後に当時の店長が独立することになったんです。出店が近所だったこともあり、その子のお客さまはみんなそのお店に流れてしまいました。
覚悟はしていたけれど、思った以上に売上が下がり、オープン以来はじめて本気でお金の心配をしましたね。全面改装でお金も使ってしまっていたし、毎日とにかく不安でした。いざというときにはいつでも借り入れができるように、銀行で手続きしていたほどです。幸い、結局お金を借りることはありませんでしたが、それだけの危機感がありました。
それでも、店長の子の独立を無理に引き留めることはしませんでした。自分も独立してサロンをオープンしているので、スタッフが独立を目指し旅立っていくのは、寂しいけれど仕方ないことだと思っています。引き留めても、辞める子は辞めていきますしね。それなら気持ちよく送り出したいので、円満退社になるようきちんと話し合うように心がけています。
経営の危機でも、特別な策は打たなかった
その後の売上回復のために、特別な策を打つことはしませんでした。というより、こういうときに作戦を練るのが得意ではないんです。僕は、1のことを10と言って人の目を引くのが苦手で、いつも真面目にコツコツやっていくタイプ。だから今回も、お客さまへ今まで通りのクオリティを提供することで、地道に売上を回復していきました。
気をつけていたのは、こうした経営上のピンチをスタッフに悟られないようにすること。もともとスタッフとは売上などの数字についてのミーティングをしていなかったので、スタッフはこの時期に僕がかなり焦っていたことを知らないのではないでしょうか。
数字に関するミーティングをしなかったのは、僕が以前働いていたお店が数字にとてもシビアだったことが理由です。数字を追い続けるよりも、楽しく仕事をしてほしいので、なるべくそういった話はしないようにしていました。
ただ、最近はスタッフが数字を意識できるよう、話をする機会も増えてきました。彼らが以前より大人になったこともその理由です。今では、30歳近くなったら、数字もきちんと意識して働けるようになるべきだと感じています。