たった10年じゃ、まだまだ成長段階。あえて多店舗展開しなかったサロンの次なる施策とは -10年サロン「Door」のブランディングストーリー後編
2018年〜現在 成長継続期
デザインには「賞美期限」があるが、技術と商材は裏切らない
移転以来、教育システムも整い、売上も順調に伸びていきました。そんな中で、2018年に「無重力パーマ」を日本ではじめて導入します。2019年にはテレビ東京の番組『ワールドビジネスサテライト』でも取り上げていただき、話題になりました。
もともと、商材や新しい技術に関心があるんですよ。『グリップシザーズ』というオリジナルのハサミも開発していますし、美容教育本や『フレーミングカット』の教育DVDなども手がけていますしね。
なぜかというと、商材と技術は裏切らないからです。デザインには「賞美期限」があって、違うムーブメントが出てきたときに対応しきれないこともある。でも、新たな商材を取り入れたり、確かな技術を身につけたりすれば、それらを組み合わせることで時代に対応できるんです。
新しい技術や商材を導入すると、スタイリストから批判されることも多いです。彼らにはこれまで培ってきたスキルやノウハウに誇りがありますから。でも、そこは「美容師は文句の一つや二つは言うもの」だと割り切っています(笑)。それに、最終的にその技術で新たなデザインが作れたら、それが美容師の実績にもつながっていきますから。
オープンから10年。これまで店舗展開をしなかった理由
2019年にはサロンオープン10周年を迎えました。その間、一度だけ移転をしましたが、店舗展開はしていません。
僕は、サロンの売り上げを上げる方法は3つしかないと考えています。一つは、単価を上げること。もう一つは、客数を増やすこと。そして最後が、店舗数を増やすことです。
僕がはじめて働いたサロンは、利益が上がるとすぐに新規出店をするサロンでした。だけどそうすると、出店に資金を使ってしまうので、プレイヤーに利益を還元できないんですよね。そのサロンでマネージャーをしていた経験からそのことを知っていたので、『Door』では店舗を増やすのではなく、プレイヤーのゲスト数と単価をアップし、信頼を得て、ファンを増幅させる。そして、給与を上げ、モチベーションを上げることで利益を出したいと考えました。これまで店舗展開をしてこなかったのには、そんな思いがあります。
ただ、今の『Door』の店舗はキャパシティ的にマックスの状態。スタイリストの活躍の場を増やすために、今後必要なときが来れば店舗展開もしていきたいと考えています。