コンテスト連続制覇で、世間に伝えた実力と存在感。10年サロン「bianca」のブランディングストーリー後編
2016年〜2018年 コンテスター全盛期
スタッフがメジャーなコンテストを総なめ
『bianca』は鎌倉のローカルブランドとして多少の知名度はありましたが、大きなブレイクスルーがなかなか起きませんでした。メーカーやディーラーのセミナーやコンテスト審査員などにたくさん関わりたいなとずっと思っていましたが、2015年ごろまではそうした仕事はそんなに多くなかったんです。
そろそろこの状況を打破しなければと思い、「東京のメジャーなコンテストを『bianca』のスタッフで全部優勝するしかない」と決めました。
僕らがターゲットにしたコンテストは、ミルボンの「DA INSPIRE LIVE 東京」、ガモウの「TOKYO BEAUTY CONGRESS」、ルベルの「I.D.関東大会」の3つ。すべて、ハードルがめちゃくちゃ高く、最難関のコンテストです。しかし、2016〜2017年にかけて、この3つすべてで『bianca』のスタッフが優勝しました。
さらに2018年には、前年と違う2人のスタッフが「DA INSPIRE LIVE 東京」で1位と2位を獲得。複数のスタッフが受賞したことでかなり強いインパクトになり、『bianca』の名前が広く知られたように感じました。
本物のクリエイターには「審美眼」が必須
僕は無理な挑戦だとは思っておらず、『bianca』のスタッフならやれるだろうと思っていました。3つのコンテストの優勝と、翌年の連続制覇を目指したのは、その実力と存在を業界全体に伝えるため。何度も圧倒的にたたみかけないと、強いインパクトは与えられないと思っていたんです。
コンテスト当日までに、相当細かな対策をするのは当たり前。厳しくハードトレーニングすることも、基本的には当たり前。けれど、コンテストだからといって特別に慌てることもありませんでした。
全スタッフの精神性は、創業時からの長年の積み重ねによって、伝統的なカルチャーとなって継承されてきている。だから、やるべきことをきちんとすればいけるだろうと考えていました。
ディレクションするうえでスタッフに伝えていきたいのは、「目を作る」ということ。フォトだとしたら、他人の作品を見て、そのセレクトをした理由や構図、ファッション、ライティングの意図など様々な「要素」を把握し、なぜこの作品に最終的に決まったのかを細かくディスカッションしています。一流の仕事を理解することができないと、本物のクオリティは絶対に理解できないわけですから。
クリエイティブの実力は、技術力の高さは当たり前ですが、同様に作品のよし悪しをジャッジする「審美眼」のレベルで大きく差がつくと思っています。作品のクオリティを一瞬で判断し、それをフォトグラファーやディレクターと瞬時に共有してブラッシュアップを繰り返す。一流が当たり前に鍛え上げた筋力を、同レベルで持ち合わせていないと、見えない世界があります。