「人間くさいサロンでありたい」。ボトムダウン型組織のブレない芯―10年サロン「Belle」のブランディングストーリー後編
2015年〜2016年 組織変革期
銀座並木通り店の出店は、大人のお客さまやスタッフのため
2015年には大きく二つのできごとがありました。一つが、銀座並木通り店の出店です。
2010年に『Belle』表参道店がオープンしてから5年が経ち、自分やスタッフも当時よりも年齢が上がってきていました。それにともなって、お客さまも年齢を重ね、ライフスタイルが変化していきます。その中で、お客さまから原宿や表参道にきづらいという声を聞くようになってきたんです。
お客さまや、働くスタッフの声を聞くうちに、次は大人の女性が過ごしやすいサロンを作らないといけないなと思いました。そんなとき、銀座エリアがいいんじゃないかと思ったんです。
最初は「うちの接客や技術が銀座で通用するのか」という心配もあったのですが、銀座という土地は懐が深くて、いろんなお客さまがきてくれました。最初は既存のお客さまが多かったのですが、次第に新規のお客さまも増えていきました。銀座並木通り店は有楽町などに近いエリア。銀座の中では比較的若い30代のお客さまがきてくれています。
『♦at’LAV♦』との合併で起きた、スタッフの成長とサロンの変化
もう一つは、『♦at’LAV♦』と合併したことです。もともと代表の冨山倫宏(とみやま ともひろ)とは同い年ということもあり仲がよかったんです。『♦at’LAV♦』はメンズに強いサロンだったのですが、当時の『Belle』は男性の顧客がほとんどおらず、女性向けに特化した状態。「このままではこの先いつか立ち行かなくなるんじゃないか」と思い、こちらから合併を持ちかけました。冨山とも意気投合し、2015年に『Belle』原宿店が『♦at’LAV♦ by Belle』としてリニューアルしました。
合併後に注力したのは、冨山や両店のスタッフとたくさん話して、互いの思想をすり合わせること。考え方の違いはたくさんあったのですが、みんなすぐに理解してくれました。
一方で、技術的な共有に時間がかかりました。『Belle』はメンズの技術に弱く、逆に『♦at’LAV♦』は女性向けの技術が弱い。お互いの店舗にスタッフがヘルプに行ってもヘルプにならない、という状態がしばらく続きました。
この時期にくじけてしまったスタッフもいました。僕たちは美容師なので、技術を身につけるには手を動かして覚えていくしかないんです。メンズとレディース、両方の技術を身につけることは絶対に自分のためになります。スタッフにもそう伝えて、ときにはつきっきりで練習にも付き合いながら頑張ってもらいました。