地震、台風、火災…何を備えればいい? 防災に取り組む4サロンに聞く「美容室の防災いろは」

多店舗展開だからこそ、防災の重要性を伝えた上で対応は現場主導に ――ケンジグループ 秋元香奈子さん

 

 

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防災に力を入れ始めた時期:2011年

 

想定している災害:地震、台風など

 

対策をはじめたきっかけ

東日本大震災の体験

 

行っている取り組み

マニュアルの作成、非常用袋の設置、複数の連絡方法の確保 など

 

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きっかけ:東日本大震災で藤沢エリアにも被害が…多店舗展開だからこそ現場への呼びかけが必要

 

藤沢エリアを中心にグループ展開していますが、この辺りも2011年の東日本大震災ではそれなりの被害を受けました。これまでに体験したことのない揺れや状況に、現場はかなり混乱していましたね…。当時もマニュアルの用意や最低限の防災は行っていたのですが、より一層、日頃からの備えが必要だと感じました。

 

ただ、藤沢だけでなく都内や静岡に近いところなど幅広いエリアに店舗があるので、全店舗に共通でルールを敷くのは難しく、それぞれの地域で起こったことを反映して対策する必要があると考えました。そこで、本部からはベースとなるマニュアルを展開し、各店でのマニュアルの肉付けと防災備品の用意をお願いしています。

 

現在行っている防災の取り組み

 

■ マニュアルの設置

「防災備品の用意」「設備や防災用品の点検」「避難訓練」など平常時に準備しておくことと、災害時の「安否確認方法」「一時避難場所」「一時避難から市区町村の避難場所への移動」については必ず入れています。本部では神奈川県藤沢市の防災マニュアルをベースに作成していますが、細かな内容は地域やテナントビルによっても異なるので、本部のマニュアルを公開した上で各店での作成・アレンジをお願いしています。バックルームに貼り出している店舗が多いですが、どのような形式でマニュアルを共有するかも店舗に任せています。

 

 

■ 防災備品・備蓄の用意

水と非常食を最低3日分、各店で置くようにしています。具体的な内容や分量は、各店での判断です。点検は年数回、賞味期限が切れたり破損したりしていないか、人数変化に対応しているかを確認します。設備や備品の購入は必要経費なので、費用の上限を設けたりコストを抑えるよう指示したりということは一切なく、必要だと思ったら現場の判断でそろえてもらっています。

 

■ 複数の連絡経路を確保

東日本大震災のときは電話がつながらず安否確認ができなかったり、スタッフが遠方の家族と連絡がつかなかったりといったことがあり、それが混乱と不安の根源にもなっていました。そこで携帯電話のほか、LINEなどのSNS、社内グループウエアなど、電話がつながらなくなった場合でも複数の方法で本部とサロンが連絡を取れるようにしています。

 

スタッフの変化:台風時に本部から連絡する前に各店で対応が進んでいた

 

2011年の震災後すぐは全スタッフの実体験から防災意識が高まっていたので、マニュアルや備えの必要性について特に浸透させようとしなくても自然と根付いていきました。その後も継続できているのは、毎年マニュアルや防災備品の見直しの必要性について各店オーナーを集めた会議でメッセージングしているからだと思います。

 

現場の意識の高さを特に感じたのが2019年の台風の対応です。本部からの正式な休業対応要請は公式な警報発表があってから出したのですが、意識の高いサロンでは本部からの連絡より前に、お店を早く閉める準備やお客さまへの連絡を進めていました。万一の際はどういった対応が取られ得るかを考えた上で、お客さまの人数も踏まえどの時点で行動しないと間に合わないか、それぞれに情報収集して考えないとできないことです。

 

美容室は人あっての仕事。お客さまはもちろん、スタッフも守るのが第一優先事項です。そのためにマニュアルの作成と備蓄が必要だと常々現場へ伝えています。日頃の準備ができていないと、いざというときに守れないですからね。

 

プロフィール
ケンジグループ
人事課 係長/秋元香奈子(あきもと かなこ)

神奈川県出身。2009年入社。採用担当として全国的に求人活動をしている。社内ではES(スタッフ満足)部門も担当。スタッフがより良い環境で働けるように考え色々な取り組みに貢献している。

 

>アシスタントからも提案が上がってくる! Violetの現場の声を活かした防災は?

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