シビれる美容を地方から。ご当地美容師の時代が来る!
完全プライベートの秘密基地サロンを設立! 島根県出雲市『LE SEPT JUILLET』武本氏
2011年7月、島根県出雲市に『LE SEPT JUILLET』をオープン。スタッフは代表の武本さんとレセプションの奥さんの2名で、セット面は1つ。田畑の中にありながら看板はなく、広告も一切せず、口コミのみの営業という完全な隠れ家サロン。“見つけてくれたゲストには最高のデザインとサービスを”というこだわりのもと、現在は定休日ナシで営業中。サロン内にはギフトショップ『Les Cadeau』もあり、東京時代の人脈から仕入れた小物を中心に販売している。
『LE SEPT JUILLET』代表の武本氏とは…
asoviva-project
LE SEPT JUILLET
Designer/武本 淳 (たけもと あつし)
東京でPEEK-A-BOO、LUCK HAIRを経て、自身が進める『asoviva-project』の一環として出雲市に『LE SEPT JUILLET』をオープン。プロジェクトのphase2としてサロン内にギフトショップを設立。今後はデザインやサービス、観光、教育などで地域貢献のできる複合施設『ASOVIVA』の設立を目指す。
存在自体が刺激的! 出雲の田園に現れた超プライベートサロン
-地方に出店した経緯を教えてください
「前職場の代官山LUCK HAIRがオープンして2年半が経過した頃に第一子に恵まれ、家族との時間を多く取れる環境を望むようになりました。そこへ家庭の事情も加わり、完全に僕のワガママで地方出店を決めました。快く送り出してくれたLUCKオーナーのキクチ氏、キトウ氏には本当に感謝しかありません」
- ご自身の地元ではない島根県を選んだ理由は?
「出雲は妻の地元です。何かを発信するときに、出雲の知名度が国内でも海外でも武器になると思ったこと。そして観光地であるため、東京時代のお客さまや友人、先輩後輩たちに遊びに来てもらいやすい、という環境に惹かれて選びました」
- 地方出店してみて、嬉しかったエピソードなどはありますか?
「地方、都心に関係なく、お客さまに喜んで頂いたときは大変嬉しい気持ちになります。強いて言えば、80歳のおばあちゃんがわざわざ家族に送ってもらってお店に来てくださり、かなり若々しいモードなヘアになって最高の笑顔をくれたときは、実はこれが最高にカッコいい仕事なんじゃないか? と思うくらいしびれました」
-逆に気をつけていることはありますか?
「地方都市は栄えていても村社会ですので、すぐに皆さまのネットワークで広まります。一度悪いイメージがつくと簡単には払拭できないと思うので、常に謙虚であるようにしています」
-サロンワークにおいて都内との違いを感じますか?
「代官山のような前衛的なデザインは好まれず、安定感のあるスタイルのオーダーが多いです。東京はいろんな出身の方がいて、要望や接客も多様になりますよね。出雲は古い歴史があるからか、性格だけでなく、何なら髪の生えグセまで似ている気さえしています」
-今後の地方サロンに必要と思うことは?
「地方発信で東京経由→全国へ、といった図式が増えていくと面白いと思います。美容だけでなく他の業種もそうですが、地方は深みやこだわりが強く、ごまかしがきかない。本物は地方にこそいると感じます。政治などでも地方分権が囁かれている時代に、美容も地方からその個性を発信していける仕組みをつくりたいですね」
- 地方出店を望む読者にひと言お願いします
「『東京で働いていました!』とか 『地方だし!』といった言葉は成功の理由になりません。ましてお客さまの絶対数が少ない土地ではライバルも多く、かなりの覚悟が必要です。しかし、ゆっくりとした時間の流れの中で、家族としっかりふれ合うことはできています。戦う準備を整えてからの地方出店はオススメできます」
美しくなりたいという女性の気持ちは、東京も地方も同じ。そしてサロンワークの楽しさにも違いはないようです。
しかし、地元に密着した地域になるほど、ブレない実力が必要。さらに最終的に選ばれるのは、人柄。そんな根本に立ち戻れるのも、地方出店ならではかもしれません。
地方で実力のあるサロンを展開することで、日本中の女性がさらにキレイになる。そして地域ならではのチャレンジを、全国へ向けて発信していく。近い将来、イケてる地方サロンに行くために、ゲストが旅をする時代が訪れるかもしれません。そんな美容の新時代が始まったら、ワクワクすると思いませんか?
取材•文/永田 未来(いちご事務所)
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