シビれる美容を地方から。ご当地美容師の時代が来る!
SNSなどを通じて情報がリアルタイムで流れて行く今。美容についても、ヘアサロンからの発信力やゲストのトレンド感覚などにおいて、都心と地方の差が狭まっていると感じる人は多いはず。それは、都内のスターサロンで働く美容師も例外ではありません。
そこで、いち早く動き出した有名店出身の美容師をキャッチ。地方だからこそできることは? 地方発信の新しい構図とは? 気になる質問に答えてもらいました。
独立の場として地方を選び、そこからヘアサロンの新たな可能性にチャレンジする3人をご紹介します。
<目次>
1 突き抜けたデザイン提案と地域貢献の両立を目指す、福島県いわき市『SLUNDRE』小松氏
2 ヘアだけでなく、高感度な人々が繋がるスペースづくりを展開。石川県金沢市『CIARTOR』彦坂氏
3 完全プライベートの秘密基地サロンを設立! 島根県出雲市『LE SEPT JUILLET』武本氏
突き抜けたデザイン提案と地域貢献の両立を目指す、福島県いわき市『SLUNDRE』小松氏
2014年4月、福島県いわき市にオープンした『SLUNDRE』は、8 1/2 eight&half出身の小松伸満さんを代表に、その妻でありチーフヘアデザイナーの作山友紀さん(DaB出身)、芽野友希さん(ULTRA C出身)が参加。現在、スタッフはレセプションを含めて6名。テラスを含めると60坪の広大な敷地に、セット面は6つというのびのびとした空間が自慢。おしゃれなだけでなく、どの席からも見えるキッズスペースなど、主婦層のゲストにも優しい設計となっている。
『SLUNDRE』代表の小松氏とは…
『SLUNDRE』
代表/小松 伸満 (こまつ のぶみつ)
代官山のヘアサロン8 1/2 eight&halfにて池部隆司氏に師事。アトリエ店店長として若手の教育にあたりながら、他方で雑誌のヘアメイク、各種セミナーの講師も務める。12年間の勤務の後、地元福島県いわき市に帰郷、SLUNDRE設立。サロンワークを中心に、福島県内や近郊のサロンにてセミナー講師も務めている。
超有名店出身の3人が生み出す、エッジィな地域一体型サロン
-8 1/2、DaB、ULTRA Cと有名店出身の3人が福島県に結集した経緯を教えてください
「8 1/2出身の僕と作山(元DaB)は地元が福島県いわき市であり、夫婦でもあります。茅野(元ULTRA C)はご主人の仕事の関係で偶然にもいわき市に住んでいました。地元でこのスタイリストたちを揃えることができたのは、僕にとってかなり心強かったですね」
- 福島県といえば、東日本大震災で大きな被害に遭われていますが独立のきっかけのなかに震災はありましたでしょうか?
「そうですね。震災後、たくさんの方がボランティアなどをしていましたが、僕が同じことをしても何か違う気がしたんです。そこで辿り着いたのが、地元に暮らし、働いて、そこから新しいものを全国へ発信すること。福島から東京に負けないクリエイティブなものを発信し、美容界だけでなく地方の活性化につなげていこうと決心しました」
-具体的には、どのような取り組みをしているのですか?
「例えば内装デザインは福島出身の建築家、アサノ・コウタさんにお願いし、木材は福島県産と、できる限り“made in 福島”にこだわりました。ほかにも地元のアーティストとヘアアクセサリーを共同制作したり、定休日にはフロアをワークショップに貸し出したりと、自分のお店だけでなく、地域全体で盛り上がれることを実践しています」
- 地方出店に際して、重視したことは何でしょうか
「立地やその地域のニーズ、プライスなどの情報収集も大事ですが、何より大切なのは自店のコンセプトをはっきりと持つこと。僕の店でいうなら“突き抜けていること”がポリシーです。低価格やキャンペーンよりも、地元の方が驚くような技術とセンス、デザイン力で感動して頂きたいと思っています」
- お客さまの反応は都内と違いを感じますか?
「予想していた以上に、それは感じていません。昔以上に流行がリアルタイムで地方に伝わっていますし、美しくなりたい気持ちは都心の女性も地方の女性も同じです」
- 地方サロンは、今後どのような動きが必要でしょう?
「地方だから、という考えに捕われず、“身近にそんな美容室があったら行ってみたい”と思われるアイディアを形にすること。『地方から発信できるサロンづくり』が必要だと考えています」
-地方出店を望む美容師にひと言お願いします
「『都心でできていないことが地方ではできる』ということはありません。まずは都心で通用する実力と自信をつけてから、地方出店をするべきです。実力が不十分なうちは失敗する可能性が高いでしょう。目いっぱい修行を積んで、その技術とセンスを地方に持って行って欲しいと思います」