美容師が知らない美容師の世界。さまざまな夢が交差する、歌舞伎町No.1のセットサロン「chupa」
人と人として、自然体で接することが大切
社長の清水さんがホストクラブの経営するセットサロンに勤務していたように、歌舞伎町には、専属契約をしているサロンや経営母体がホストクラブやナイトクラブというセットサロンも多いそう。「Hair make salon chupa Tokyo」は、専属契約などもとくにしていない、しかも場所も分かりにくいサロンにもかかわらず、夕方から夜になると、歌舞伎町に勤務するホストやキャバクラ嬢たちがひっきりなしに訪れます。ほとんどのお客さまは口コミで来店し、「うまい、安い、早い」と評判なのだそう。
取材の日も、若い男性が続々と訪れ、髪をセットしてもらっていました。彼らはセットを終えると「いってらっしゃい、頑張ってね!」というスタッフの声援に見送られて、店をあとにします。
「ほかのサロンだと、黙々と作業をして、淡々と送り出すところが多いと思うんです。でも、たった10〜15分といえども、ほぼ毎日の付き合いなわけです。ワイワイおしゃべりをしながらセットして、終わったらいってらっしゃい! と送り出すのが、うちでは当たり前になっていますね」と副店長の篠崎さん。
彼女自身、客としてこのサロンを訪れていたのが、雰囲気が好きで美容師になることを決意したのだそうです。
「Hair make salon chupa Tokyo」は、技術力に長けているのはもちろんのこと、こうした明るい雰囲気も手伝って、歌舞伎町のセットサロンのなかでも、1、2を争う人気店となっているのかもしれません。
「私たちセット美容師にとっては、お客さまが売れることが一番うれしいんです。ホストだと1000万円を突破することが第一段階になるのですが、お客さまに『1000万円突破したよ』とか、『一番取ったよ』と言われると、ものすごくうれしいですね」(高橋さん)
社長の清水さんも続けます。
「ナイトワークをしているというと、ついつい色眼鏡で見られてしまいがちですが、話してみると本当に普通の子たちばっかりです。セットって感性の仕事だと思うので、機械的に仕事をしていてもいいスタイルは生まれません。人と人として接することで、仕上がるスタイルも全然変わってくると思うんです。私たちが人と人として接しているからこそ、勤務するお店が変わっても、ずっとうちのサロンに通ってくださるお客さまが大勢いらっしゃるんだと思いますね」(清水さん)
自分たちのやりたいことをやって、飛躍していってほしい
「Hair make salon chupa Tokyo」では、日々のサロンワークのほか、全国のセット美容師、ヘアメイクを集めた講習も行っています。加えて、ブライダルやクラブ、ファッションショーなどの出張メイクも始めているのだそうです。
それは、できる限り、自分たちのやりたいことをやらせてあげたいという、オーナーの親心から。
「私は24歳で『日本一のセット美容師になりたい!』と歌舞伎町に出てきましたが、『日本一になるという目標を叶えるためにはここじゃないな』と当初、働いていたサロンでの仕事に満足できず、自分のサロンを立ち上げました。私自身がそうしたステップを踏んでいるので、ここのスタッフには、自分のやりたいことをやらせてあげたいんです」(清水さん)
将来は自分のセットサロンを持ちたいという篠崎さんと、まだ夢は未定だけれど、社長のようになってみたいなと思い始めた市橋さん。将来的には、スクーリングやブライダル、海外などでのヘアメイクをしてみたいという高橋さん。
「ここで働くスタッフには、それぞれいろいろな将来があると思うんです。彼女たちには、ここでの仕事をステップに、飛躍していってほしいですね」(清水さん)
セットサロンから始まる歌舞伎町の眠らない夜。そして、歌舞伎町の夜に花を添えるセットサロンからも、いろいろな夢が生まれ、新しい物語が始まろうとしています。
プロフィール
hair make chupa group
歌舞伎町のカリスマが経営する、ホストやキャバ嬢たちのヘアセットを専門にしたヘアサロン。技術力の高さ、雰囲気のよさに加え、価格のリーズナブルさも人気の秘密。現在 新宿・大阪・鹿児島と全国へ展開中。
Hair make group charmpoint プレジデント・コンサルタント/清水 歩(しみず あゆみ)
歌舞伎町のほか、大阪に同系列の店舗を経営。サロンワーク以外にも、ウェディング、業界初のヘアメイクオンラインスクール、雑誌やCMなどのヘアメイク、コンサルタントとして幅広く活躍している。
(取材・文/QJナビ編集部)