お客さんの「カルト化」がブランド価値につながる。床屋を新たな“溜まり場”に進化させるMERICAN BARBERSHOP FUKの試み

カルチャーをわかりやすく紹介する「文脈」へのこだわりがファンを増やす

 

 

こだわりはたくさんありますが、まず内装は「スピーク・イージー」な雰囲気をどう伝えるかにこだわりました。「スピーク・イージー」と言われてピンとくる人が日本に多くないからこそ、そのカルチャーをわかりやすく紹介するつもりで内装を作りましたね。

 

メニューのこだわりは「ネオクラシック」をキーワードに、昔からあるナポリタンやクリームソーダを再定義。ナポリタンの麺にはちゃんぽん麺を使ったり、クリームソーダには友人がやっている素材も味もデザインもこだわったクラフトアイスクリーム屋のアイスを使ったりして、そこに文脈を付け加えることにこだわっています。

 

 

文脈を増やしてこだわって作ると、理容師とお客さんの会話も弾みます。それはファンを増やすことにもつながるし、メリケンの場合はそこから企業のコラボに発展することもありますね。

 

入りづらいからこそ、カッコいい「あこがれの店」になる

 

 

一方で、大変だったこともあります。特に喫茶店とバーの集客は難しかったですね。

 

バーバーは神戸での実績があるし、集客サイトを使うことですぐに軌道に乗ったんです。ただ、喫茶店とバーはそもそも僕が飲食業の集客の仕方をわかっていないうえに、立地も繁華街から離れていて、入り口の場所もわからない(笑)。でも、それは「スピーク・イージー」をコンセプトにした時点で見えていることでしたから、むしろ、やりがいを感じましたけどね。

 

今ではどうやら福岡の人たちも存在は知ってくれているものの、店に入るのが怖いらしいです。そりゃそうですよね(笑)。でも、だからこそ店にきて飲んでいる奴らはよりカッコよく見えるはず。「あこがれの店」のような雰囲気も醸成できているんじゃないでしょうか。

 

それに最初のハードルは高いかもしれないけど、一度きてくれた人は頻繁に通ってくれるようになるんです。自分たちもこだわりを持ってやっているので、そこは自信があります。

 

最近はバーにもかなり人が集まるようになってきました。売上としては、バーバーがトップで、続いてバー、喫茶店の順。2020年は喫茶店の集客にも力を入れていくつもりです。

 

いい箱を作ればいい奴らが集まり、メリケンブランドが高まっていく

 

 

バーバーにくるのは男性ですが、バーには性別関係なくいろんな人がきてくれます。年齢は20代が6割、30代が3割、その他が1割ほどで、クリエイターが多いですね。

 

オープンから1年半ほどが経ちますが、バーラウンジを併設した効果は大きいと感じます。特にうちは音響システムにもすごくこだわっていて、普通のクラブでするようなライブやイベントも開催できるんですよ。イベントを開催すると新たなつながりができて、おもしろいコラボが生まれる。そしてまたメリケンのコミュニティが育っていく。いい箱を作ればいい奴らが集まるんだなと感じました。

 

これまでのイベントで印象的だったのは、自分たちで開催した1周年パーティです。オープントップのバスをメリケン仕様にラッピングして、レッドブルに音響を組んでもらってD Jを入れ、スタッフやお客さんを乗せて博多ツアーをしました。ここにも実は、「移動広告を再定義する」というネオクラシックの文脈を仕込んでいます。そして『MERICAN BARBERSHOP FUK』に着いたら、そのままバーラウンジでパーティ。バーバーの1周年を祝うために、400人もの人がきてくれました。

 

 

他にも、イギリスのタバコ会社をスポンサーに、今勢いのあるヒップホップアーティストやDJを呼んでパーティをしたことも。このイベントは入場料からフード、ドリンクまですべて無料にして、500人近くがきてくれました。すべてフリーのイベントは珍しいので、福岡のクラブイベントと比較してもおもしろいことができたと思います。企業とコラボし、ストリートのアーティストを呼んだこのイベントは、「ストリートスマート」の好例でしたね。

 

 

先日、知り合いが福岡の街を歩いていたら、ギャルたちが「メリケンってヤバイらしいよ」という会話をしていたそうです(笑)。こうしたイベントを通して、着実にメリケンというブランドを築けていると感じます。将来的には東京に店舗展開したいと考えているので、この勢いで3年、5年と続けていき、ブランドの価値を高めていきたいですね。

 

>成熟した理美容業界で生き残るために

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