街の美容室vol.14 神楽坂 LOG SALON
−お客さまの層はどのような感じでしょうか。
うちは30〜50代くらいがメインのお客さまです。近隣や、地元の方も多く、70歳とか80歳の方や、そのお子さんやお孫さんをご紹介いただくこともあります。男女比は店全体では男性4対女性6くらいで、僕の場合は男女、半々です。
3.11の震災までは、原宿・表参道時代からお世話になっていた神奈川方面からのお客さまもよくきていただいていたのですが、電車でわざわざここまでくる不安もあったのか、それ以降は減ってしまいました。
逆に、もともとは表参道や銀座の美容室に通っていた近隣に住むお客さまが増えました。今は表参道や銀座ブランドにこだわる方も減っているのかなと思います。わざわざ都心に行くのは疲れるから、近くにいい店があるなら、そこでリラックスして、カットしたいという感じなのでしょう。以前勤めていた表参道の美容室では、「髪が乱れていて恥ずかしいから」と別の美容室でわざわざ髪を整えてからきたり、洋服も気合い入れてくるお客さまが多かったのですが、ここではもっと気軽に、自然体できていただけます。
−どのようなオーダーが多いのでしょうか。
都心のお店では、美容室のあとにカフェに行ったりショッピングをしたりするので、スタイリングに力を入れるところが多いですが、神楽坂では、美容室のあとにスーパーに行くなど、いつもどおりの日常を過ごされる方も多く、気合いを入れてスタイリングをすると逆に目立ってしまいます。「ご近所さんに会ったら恥ずかしいから、あまりスタイリングしすぎないで」とおっしゃる方も多いです。ナチュラルで再現性の高いスタイルが好まれますね。
スタイリングに頼らず、かっこよくキレイなスタイルをつくるには、やはりカットが大事です。お客さまは、質の高いものに慣れている目利きの方が多いので、ごまかしがききません。独立して感じるのは、やはりカット技術が高くないとやっていけないということですね。
−インテリアは落ち着いていて、あたたかいイメージですね。こだわった部分はどんなところでしょう?
アンティーク「風」のインテリアの美容室は多いのですが、うちは「風」ではなく、本物を使っています。家具や照明もすべてです。鏡もアンティークで、よく見ると微妙に歪んでいて、味があるんですよ。
インテリアだけではなく、すべてにおいて、オリジナリティーを出していきたいと思っています。意外性というか、ギャップを大切にしたいんです。
たとえば、神楽坂はフランスのイメージが強いですが、うちはあえてアメリカのものを使っています。スタッフは男性ばかりで、一見、無愛想に見えるのですが、実際は気さくでフレンドリー。あとは、席が埋まっていることが多くいつもバタバタしているので、お客さまに「プライベートサロンといっているから静かだと思ったら、結構賑やかじゃない?」と言われることもあります(笑)。今までやったことのない似合うスタイルを提案するなどももちろんそうですし、いい意味での意外性や新しい発見を提供していけたらいいですね。
神楽坂は自分にとって、「ここに店を出すなんて思いもよらなかったけれど、いい感じ!」という、まさに意外性のある街でもありました。