カリスマブーム衰退後に新たな手法で成功。美容業界の風雲児、鈴木勝裕の美容師人生

hosoku

 

今後は業界の整理が始まり「消滅のブーム」が起こる

 

-今後美容業界で新たなブームが起こるとしたら、どのようなものだと思われますか?

 

業界の整理が始まって、急激な勢いで美容室が減っていく「消滅のブーム」が起こると思います。これは全国の美容室の数に対して美容学校の卒業生が少ないという人材不足も背景にありますが、もう一つの大きな理由はマイナンバー制度の導入です。

 

今後はマイナンバー制度によって、法人の場合義務である社会保険加入の有無や税金の未納などが明らかになるため、そうした点がきちんとできていない組織の場合ほぼ出店ができなくなる一方、まともにやってきた人たちは長く生き残っていくはずです。

 

-カリスムブーム時代と現在の美容業界ではどういった違いを感じますか?

 

カリスマブームのころはとにかく「有名になればいい」「お客さまが集まればいい」「スタッフが集まればいい」と価値基準が荒かったので、例え有名になれても、社会に出たときに企業の社会同調性の足りなさが露呈することが多かったんです。

 

その点、今の業界は、社会ときちんと同調できる美容室しか残れないのがいいところだと思います。社会自体が厳しくなって甘えた経営が難しくなってきたからこそ、今後は真面目やっている人たちがきちんと評価を受けられる時代になると思います。

 

interview

 

未来に据えた目標から逆算し、今やるべきことを知る

 

-現在悩みを抱える美容師に数々の試練を乗り越えた鈴木さんからアドバイスをお願いします。

 

まず同じ立場である経営者の方には、辛い現状から逃げずに事業計画をしっかり立てられるようになってもらいたいと思います。悩んでいるときはまず冷静になって、狂いのない情報と向き合う。

 

僕の場合狂いのない情報とは何だったかというと、人口統計や美容師一人頭の生産量を示した数値で、それらを元に経営を考えてきました。お客さまのニーズを数値で把握して、それを元に美容師としての成長を計画するという意味では、これは美容師個人の成長についても言えることですね。

 

それから、自分から遠く離れた未来を見ることも大事だと思います。上場を目指した当時の僕のように、今の自分から遠い未来に目標を据えて、そこから今に向かって逆算することで、今どのような選択をすべきかがわかると思います。

 

プロフィール
美的感覚集団美髪堂株式会社代表取締役社長

鈴木勝裕(すずき かつひろ)

埼玉県入間市出身。中央理美容専門学校、山野美容専門学校を卒業。1987年24歳で独立。「STREET」ブランドでカリスマ美容師ブームを牽引。2007年に経営革新計画の承認を得た事業モデルが評価され、第2回渋沢栄一ベンチャードリーム賞にて奨励賞を受賞。同年3月、埼玉県ベンチャー企業優良製品コンテスト入選。埼玉県美容組合狭山支部長、埼玉県美容業生活衛生同業組合理事などを歴任。著書に『奇跡の美容室』(ダイヤモンド社)がある。

(取材/文・阿部夕華)

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