誰でも美容師になれる国!? 「ジャカルタ」で感じた海外展開の難しさ― Lond代表取締役小林瑞歩さん
現地入りしてからはトラブルの連続。オープン当初は苦しい期間が続いた
出店場所も後藤くんがリードしてくれて、日本人の方がきやすいエリアを選んでくれました。移住に関しては、観光ではないので働くためのビザや、移住許可、居住許可などの手続きが必要でしたが、後藤くんをはじめ、関係者の方たちが先導して進めてくれたので、僕は必要な書類を集めていくだけ。なので、手続きの大変さはあまり感じませんでした。
ただ、現地に着いてからはトラブルの連続。
雨季で雨がどっと降ると、よく停電したし、現地のスタッフは内装工事作業をとりあえず終わらせてくれるのですが、後々不具合やミスがでてくるんです。塗装が剥げたり、お湯が出なかったり。「壊れているから直して」って伝えても、「OK。じゃあまた明日行くから明日直すよ」って言われて、3日くらいこないことも普通にありました。
基本的に、シャンプー台や什器などをすべてインドネシアで調達し、内装もインドネシアの会社にお願いしていたので、オープンまではこういった不具合がたくさんあり、正直イライラしたこともありました。でも、現地でいろんな方に話を聞いていると、これは国民性というか当たり前のことらしいので、ぐっとこらえていましたね。
集客の手段は、ブログやインスタグラムとインドネシアで毎週発行されている「ライフネシア」というフリーペーパー。ライフネシアは日本人に向けて発行されているもので、現地の飲食店や美容室、ネイルサロンなどの広告が掲載されています。Lond Tokyoもオープン告知の広告を載せました。
予定通り2017年10月にオープンし、スタイリストは僕1名、アシスタントは現地のスタッフ2名でスタート。しかしオープン初日は、想像以上に暇でした。初日以降も1日に1人や2人来店があるぐらい。お客さまの来店数が少なすぎて首を括ろうかと思うほど苦しかったです。お客さまが増えはじめたと感じたのは、オープンから4ヵ月も経ったころでした。
結果的に集客に結びついたのは広告ではなく、口コミだと思います。
ジャカルタには一棟のうち約7割の住人が日本人というアパートなどがあり、そこの住人同士のコミュニティがあるんです。他にも子どもがいれば幼稚園や小学校、習いごとといった親同士のコミュニティなどもあります。そこに集まった人同士で「この店がよかったよ」と、情報を共有しているんです。
実際うちに来店されるお客さまは「ジャカルタに住んでいる友人から美容室ならここがいいって聞きました」と言う方がとても多いんです。もちろんWEBで検索してうちの店を見つけてくれることもあるのですが、現状インドネシアで暮らす日本人の方にとって情報を得るための手段は口コミが大きいと思います。
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