美容師がこぞって通う美容室LANVERYその魅力とは
言葉数は少ない…けど、メンターとして求められる理由とは!?
僕を含めて皆がそうだと思うのですが、「現状よりもうまくなりたい」「よりよくしたい」ということを追求していくと、次の課題が生まれますよね。今は、その「課題の抽出」を日々やっている感じです。LANVERYのミッションは、「美と若さの追求」と壮大ですが、まずはひとりひとりのお客さま、そして自分の技術と向き合うことが大切です。一見地味なことですが、今までずっとこの姿勢でやってきたからこそ、常に後輩美容師の先を行けていると思うんです。
先程、美容師のお客さまは僕の仕事を見にきていると話しましたが、後輩たちがトップのスタイリストになるにつれて、彼らもサロンは違えどメンター(指導者)を求めているんだと思います。それは、キャリアの面でも感じますね。
あえては聞いたりはしませんが、彼らの表情を見ながら、悩みがありそうだと感じたら「最近、人生の調子どう?」「最近、何に関心がある?」みたいな切り出し方をします。そこで自分のキャリアについての話が出てきたら、傾聴しています。
トッププレイヤーの場合は、当初描いていたゴールをそのサロンで達成したあとに、次のゴールや目的がほしくなると思うんです。ですから、「何がしたいの?」「なぜしたいの?」と問いかけることが多いですね。「こういう美容室をやりたい」「こういう人生送りたい」とかって、やっぱり自分の心の声に耳を傾けて、聞こえてきたものがゴールだと思うので、それを応援したいですよね。結局ゴールって、自分の中からしか生まれませんから。僕の場合、利害関係のない立場からコーチングできるのもいいんだと思います。
技術面で論理的な説明をするというのもそうですが、それ以外のことでも、ふわっとしたアドバイスではなく、具体的なアクションプランを伝えるようにしています。例えば、デビューしたばかりのときには、とにかくお客さまを増やしたいですよね。お客さまを技術面でも接客面でも満足してもらうのはもちろんですが、その先に繋げるためには、本音としては、「どなたかお客さまを紹介してください」と言いたいところ。でも、これはなかなか言い出せないから、「応援してください」と言い換えるように伝えています。そして、その前には必ず夢や目標を語るようにアドバイスするんです。「僕、これからもっと頑張りたくて、お客さまをいっぱい担当して、トップスタイリストになりたいんです」と先に言っておくと、「応援してください」と言った時にお客さまはわかると思うんですよ。自分が紹介できなくても、通い続けるという形で応援してくれることもあると思いますしね。ここでも、「こうしたらこうなる」というのを明確に伝えるようにしています。
LANVERYにきたあとは美容師もお客さまも自己効力感が高まる
僕のところにきた後輩の美容師たちによく言われるのは「太一朗さんの話を聞いていたら、できるような気がしてきた」とか「自分のサロンワークでもいかせそうです」というような自己効力感(注1)が高まるということなんです。お客さまの場合は、サロンに行った次の日からきれいだから自信がもてたりとか、毎日のスタイリングが楽しくなったりということもあると思います。できる気がするとか誰かに会いたくなるとかって、未来の自分に対する自信ですよね。こうした確かな技術をもった美容師さんたちが増えれば、「ちょっと時間ができたから、美容室に行こう」というお客さまも増えると思うんです。
技術が確かで必ず納得のいく仕上がりにしてくれるという価値がちゃんと世の中に広まるためには、まずは美容師自身の自己効力感を高めるのが近道かもしれませんね。
(注1)自己効力感:課題に対して必要な行動を遂行できるという自信や期待
菅野太一朗(すげの たいいちろう)
1976年生まれ。
福島県出身。
東京マックス美容専門学校卒業。
都内2店舗で要職を経て独立。
2016年表参道に「LANVERY」を設立。
経営とサロンワークを主軸に、撮影、セミナー講師、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。
http://www.lanvery.jp
(取材・文/須川奈津江 撮影/菊池 麻美)
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