夜営業で知ったプラス540円の価値。創業70年を超える老舗美容室3代目の想い―hull濱田健太さん

夜営業は、仕事と育児を両立している女性のお客さまにも重宝されている

 

 

夜営業のスタイリストは僕1人。高校を卒業してからずっとお店に出てくれている20歳の甥っ子がアシスタントをしてくれているのですが、自分1人でお店が回せる時間になったら、閉店時間ではなくても甥っ子には帰宅してもらう、という感じで臨機応変にやっています。

 

サービス内容としては昼と夜で特に変えてはいませんが、深夜料金として19時30分以降は別途540円いただいています。水曜のみの夜営業を始めて約1年半になりますが、誰もこない日というのが本当になくて。

22時まで予約枠を取っているんですが、日をまたいでしまうこともあるくらい好評なので、現在は週3回ほど夜営業をしています。

 

はじめる前は仕事帰りの男性のお客さまが多くこられるだろうと思っていたのですが、意外にも女性のお客さまも多く驚きました。このご時世フルタイムで働いているお母さまたちもたくさんいるので、旦那さんが家に帰ってきてから子どものお世話をバトンタッチしてお店にきてくださったりするんです。

 

あとは、お母さまに連れられて小学生のお子さまの来店もすごく多い。昼間働いている方は、「子どもを平日の昼間に美容室へ連れて行く暇がない。だからといって、子どもとお出かけができる貴重な土日を美容室に割きたくない」もの。そういったお母さま方からも夜営業は重宝されています。

 

この地域の美容室は大抵17時または18時でお店を閉めてしまい、夜遅くまで開けているのはうちの店だけ。夕方以降の時間帯に来店したいお客さまの需要はあるので、もっと他の美容室も、オープンやクローズの時間は地域性やお客さまのニーズに合わせたらいいのにな、と思います。

 

地元に根付いた老舗美容室に“新しい風”を吹き込みたい。地域密着サロンの想い

 

 

昔勤めていた繁華街である元町の美容室とは違い、高砂は完全に住宅地。通ってくださるお客さまは、同じ地域に住んでいる人ばかりです。そんな土地柄もあり「高砂で美容室をやるなら、とことん地元の人たちに寄り添わないとうまくいかないだろう」と思い、地域密着型の店づくりを意識してきました。

 

お店を継いだころからの目標は、地域の人々との繋がりを何よりも大切にし“街の顔を目指す”こと。

 

例えば、約10年前から美容室で年に2回開催している“月曜市”。

高砂に住み、モノづくりに携わっている人たちがお菓子や雑貨などを販売したり、僕の友人のアーティストがライブを行ったりするんです。髪を切りに訪れたことのない人が美容室へと足を踏み入れてくれるきっかけにもなるし、この街にいる手作り作家さんたちが活躍できる機会にもなっています。

 

そして、この美容室が大事にしているのは“人に優しく”すること。僕の代になり店内の雰囲気をガラッと変えましたが、これは変わらずに受け継いでいる先代からの教訓です。美容師として頼まれたことも、地域の人として頼まれたことも、決して断らずに積極的に参加するようにしています。

 

断ってしまうと信用を一気に失ってしまうし、一度失ったものを取り戻すのはすごく大変です。技術で魅せたり、トレンドをいち早く取り入れたりすることより、赤ちゃんがきたら一緒に遊ぶ、年配のお客さまの手を引いてあげるなど、地域の人と触れ合うことを大切にしています。

 

>美容室にコインランドリーを設置! 新たな試みに挑戦し、地域を盛り上げていきたい。

 

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