カラーは家でする時代に? コロナ禍ではじめたオンラインカウンセリングで見えた展望とは
産休時などのお客さまとの接点にも。オンラインカウンセリングが美容師の働き方に与える可能性
コロナ禍の中で見切り発車な部分もあったオンラインカウンセリングですが、実は昨年から東京都の「革新的サービスの事業化支援」事業に申請して準備をしていたんです。うまくいけばこの4月にでもスタートできる予定でしたが、コロナの影響で白紙になってしまいました。
でも、手探りでもスタートさせてきたことで、見えてきたことがたくさんあります。COLORISでは全国に表参道クオリティのカラーをしたいという人がいるということ。サロンのオンラインカウンセリングでは今後のサービス構築のために何が必要かということ。例えばカウンセリングアプリの開発をしてくれる企業などとパートナーシップを組むことで、より可能性のある事業として取り組むことができるのではという展望が見えてきました。
オンラインカウンセリングの可能性は他にもあります。それは女性美容師のキャリアパスとしての機能。出産育児などで、サロンワークができない時期にオンラインカウンセリングをすることで、顧客との関係をキープすることができます。またそういう仕組みがあれば、安心して働くことができるので離職を防ぎ、雇用者にもメリットがあります。
現在はまだオーナー2名のみの対応ですが、今後少しずつ他のスタッフもオンラインカウンセリングができるように、マニュアルを作ったり知見を共有したりしていきたいですね。とはいえ、サロンワークありきのオンラインカウンセリングなので、どのようにサロンワークとのバランスを取るかも考えていかなければなりません。今は緊急事態宣言が明けてサロンが忙しくなってきているタイミングなので、他のスタッフにも広げるのはもう少し後になりそうです。
サロンワークと2軸で回す。今後のオンラインカウンセリング展開の未来図
今のところ、オンラインカウンセリングそのものを有料で提供する考えはありません。今後は当初から考えていたカラー剤を販売して購入者へオンラインでレクチャーするスキームを、今回のオンラインカウンセリングの知見を活かしてより具体的にし、実現につなげていきたいと考えています。カラー剤の購入が前提にあって、その満足度や効果を高めるためのサポートとしてオンラインカウンセリングをセットにするというイメージです。
オンラインでのカラー剤の販売とオンラインカウンセリングをセットにすることで、髪全体のカラーリングであれば東京の表参道や青山に出てこられなくても、それこそ地方に住んでいる人であっても東京の有名サロンクオリティを楽しめるようにしたい。さらに、オンラインでの商材販売によって、時間や席数の制限による上限なくサロンの売り上げを伸ばしていくこともできます。また、サロンワークではデザインカラーやカットなどの、美容師の技術をより活かしたメニューの提供を強めることも期待できます。
これからの時代、ヘアサロンはお店でのサロンワークだけではなく、サロン外での事業を両輪で育てていくことが大事です。我々もそれに向かって挑戦し続けていきたいです。
- プロフィール
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HONEY GROUP
オーナースタイリスト/小田泰之(おだ やすゆき)
1985年生まれ、東京都出身。窪田理容美容専門学校卒業後、都内2店舗を経て2014年に表参道にHONEYをOPEN。現在はHONEYGROUPの経営全般を主に担当。新規事業開発チームの指揮を執る。
Instagram:@oda_yasuaki
(取材・文/若月美沙 写真/提供)