カラーは家でする時代に? コロナ禍ではじめたオンラインカウンセリングで見えた展望とは
コロナの影響で急遽はじめた、サロンのオンラインカウンセリング
我々のお店もこの3月末からはコロナの影響を受け、多くのお客さまが来店できなくなっていました。そこで4月5日から試験的に、ビデオ会議ツール(Zoom)を使ったオンラインカウンセリングを行うことにしました。サロンにこられない間のお悩みに答えたり、再び来店するのを楽しみにしてもらえるような提案ができたら、という顧客サービスとしてはじめたので、完全に無料です。
急な試みということもあり、まずは私と共同オーナーの吉田遼平(よしだ りょうへい)の2人のみの対応としました。店舗に個室があるので、オンラインカウンセリング時はそこにZoomを使える機材を持ち込んで1人で画面越しにお客さまとお話していました。
実際にスタートして、いちばん多かったのは「前髪が伸びてきたのでなんとかしたい」というお悩み。そこで前髪のセルフカットをレクチャーするのですが、これが思っていた以上に難しくて…。まず道具がない。家にある普通のハサミを使うしかないので、それだけでドキドキしますよね(笑)。
さらにカット方法を説明するのにも専門用語が使えません。「オンベースで引き出して…」と言ってもお客さまには伝わりませんから、一度自分の頭の中で言葉を置き換えてから説明しないといけない。そこで口頭で説明するだけでなく、ウィッグを使ってカメラ越しに手本を見せたりと、いろいろ工夫をしながらやっていきました。
他には、この自粛期間中にヘアを通して少しでも楽しい気分になってもらおうと、ウィッグを使いながらヘアアレンジをレクチャーしたこともありましたね。
目的だったカラーカウンセリング、見えてきた課題とは
緊急事態ではじめたオンラインカウンセリングですが、かねてから構想していた遠隔でのカラーリングにトライできたのは、大きな学びになりました。
事前にカラー剤をお送りし、当日ビデオ通話をつないでレクチャーしていったところ、サロンで行っているのと同じハケで塗布していく方法をそのままをお伝えしたら、1時間ぐらいかかってしまったことがあったんです。
そのときはお客さまの旦那さまも協力してくださって2名体制だったのですが、それでもやはり一般の方がハケを使ってムラなく塗布するのは難しい。もし1人でやったら、より時間がかかってしまいそうだという課題が見えてきました。
そこで、ハケを使うのではなく、髪を濡らしてから全頭に揉み込む方法のほうが早くてムラにならないな…など、初回から改善を重ね、だんだんと希望色に近い仕上がりをお客さまご自身で実現できるようになってきました。現在もその方法に合わせたお客さまへのカラーリング方法やポイントの伝え方などを模索しながら工夫を重ねていっています。
オンラインカウンセリングを通して今まで以上に「わかりやすさ」を意識するように
今回のオンラインカウンセリングは、サロンの既存のお客さまのみを対象にしました。
オンライン通話だったからこそよかったこととして、普段はお一人でサロンにいらっしゃるお客さまの旦那さまやお子さまに挨拶できたり、自宅の様子が伺えたりしたのは大きいです。それによって信頼関係がより強固になったという実感があります。心理的に近しくなれただけでなく、お客さまにとってもある一定の安心感を与えられたのではないかと思っています。
一方で、オンラインの難しさもやはりあるなと感じています。
まず、どうわかりやすく伝えるか。モニターを通しての会話はリアルとは違い、言葉の温度感が伝わりにくいですよね。そこでより丁寧に説明したり、言葉を選んだり…、今まで以上にわかりやすく伝えることを意識するようになりました。それはLINEでも同じこと。文字の場合、丁寧すぎて長くなっても逆効果ですし、伝わるように書くことを改めて考えていくことで、コミュニケーション力は高まったと思います。
その意識はオンラインカウンセリングだけでなく、普段のサロンワークにも活きているようで、最近はリピーターのお客さまに「説明がなんとなく今まで以上に丁寧でわかりやすくなった気がする」と言われることもあるんですよ(笑)。
また、オンラインでは髪質がわからないという点が大きな難しさです。今回は最低でも1回はサロンで担当した方を対象としていたため、カラーの入りやすさや髪の柔らかさ、癖など把握していたのでみなさま対応できましたが、新規の方をオンラインで…というのは現段階ではやはり難しいなと再認識しました。
まだまだ、難しさやアップデートしていきたい点はたくさんあります。でも、やってみないと見えなかった難しさが浮き彫りになったのは、すごく大きな進展です。何より、実際にお客さまからの相談があったこと、そこでいただいた喜びの声などに、やってよかったと思っています。