グローバル時代を生き抜け! 外国人客が集う美容室Hayato Tokyoに迫る
海外のサロンで働くことも美容師の選択肢のひとつ
-海外と日本。働き方のギャップはありましたか?
大いにあります。海外では時間で働くという意識が強いんです。なので、遅くまで残って練習はしないですし、休憩時間もしっかり取ります。ですから休憩中にスタッフに声をかけても絶対に手伝ってくれないんです。そういう意味で、日本みたいに働き過ぎということにはならない。
アメリカだと美容師は、“幸せな職業トップ10”に入っているくらい人気の職業なんです。総合的な技術面では日本は上かもしれませんが、労働環境の面では海外の方が進んでいます。
僕が日本の美容師に伝えたいのは、もっと海外を目指してもいいということ。就職先として海外のサロンも選択肢のひとつに入れてみては、と思います。価値観の違う国で働くことで、視野を広げることができますから。
-Hayato Tokyoはニューヨークとロンドンに店舗展開をしています。グローバルな視点を持つサロンならではの技術やサービスはありますか?
基本的にすべての人種に対応できる環境が整っています。カット技術ではいろいろな髪質を研修時に経験することで、どんな人種の方がきてもカットができるようにしています。人種によって髪の悩みが違いますし、美容室に求めているサービスも違うので、どんな人種にも対応できることが強みですね。
サービスに関しては、マッサージは喜ばれます。海外では肩のマッサージや、リラクゼーションなどのメニューはとても少ないので。シャンプーなんかはパパっと洗って終わりますから。なので、単純に心の込もった癒しのメニューはとても喜んでいただいています。日本式のおもてなしは、素晴らしいサービスだと思います。
-癒しといえば、Hayato Tokyoでは、箱根にある別荘を賃貸できるサービスを提供されています。そこでは、滞在中にカットサービスもしてもらえるとか。
“海外のウィークエンドハウス”をコンセプトに展開しているんです。ニューヨークで成功している人の中には、郊外に別荘を所有し週末に家族と過ごす方がいます。この習慣に影響を受けたサービスなんです。自然に囲まれた別荘に宿泊しながらカットやスパを堪能する。そして新しい自分に生まれ変わった状態で、都会に帰っていただくという目的でやっています。
-海外のお客さまを接客するときに気をつけておかないといけないことはありますか?
日本の美容師はカット技術を売っていると認識している傾向がありますが、海外のお客さまはそこだけを見ているわけではないんです。『どれだけ美容師が自分の意見を持っているか』も見ているんです。『今の日本の政治や経済についてどう思っているのか?』とよく聞かれます。そこで自分の意見を答えないと、まともに話ができないと思われてしまいます。いま起こっていることに無関心になるのではなく、起こっている事象に意見を持っていた方がいい。またサービスをするときに気を付けているのは、日本のやり方を押しつけないことです。さまざまな技術があり、外国人の方には向いていないもの、嫌がられる技術もありますので。
-美容の知識だけではダメなんですね。
ダメです。海外で高単価のカットをするには、美容の知識だけでは難しいと思っています。でもこれは外国人のお客さまだけでなく、日本人のお客さまにも当てはまるんじゃないかな。あとは“人間的な厚み”も持っていないといけない。人間力のある美容師でないと、海外のお客さまには相手にされない。じゃあ、その人間力をどう作っていくかというと、経験なんです。Hayato Tokyoでは海外研修をさせることで、人間力の育成も行なっている。なので、美容以外のことも経験し、勉強し、視野を広げることは大切なんです。
-最後にこれからの展望を教えてください。
将来的な目標として、20年で100店舗というものを掲げています。海外の主要都市に店舗を立ち上げて、世界中に日本の美容の素晴らしさを広めたい。また現地で働いている日本人もいらっしゃいますので、そういう方に日系のサロンである私たちのお店に来店していただいて、同じ日本人として心の支えになっていきたいです。
- プロフィール
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Hayato Tokyo
ジェネラルマネージャー兼アートディレクター/TAICHI
さまざまな人種の髪質に合わせてカットする実力と会話力で数多くの外国人顧客を魅了するバイリンガル・スタイリスト。人種という垣根を超えてお客さまを幸せにさせるというモットーを持って活躍している。5月からニューヨーク店でのマネージメントも担当する予定。
(取材・文/服部 悠志 撮影/QJナビ編集部)
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