テレビやネットで話題になったガテン系美容師に突撃! シュールすぎる美容室CHOMO.HAIRの実態

テレビ放送後の予約は1件のみ。貼り紙によって生まれた、人との繋がり

 

 

ディスプレイについてWEBメディアで取り上げてもらったり、地元のテレビに出させていただいたりしたこともありますが、正直集客数や売上はほぼ変わっていません。単純に「おもしろい!」で終わってしまい、利益にはつながらないんですよね。テレビ放送の翌日にも関わらず、予約が一件だったこともあります。

 

それでもWEBメディアで取り上げられたことによってロサンゼルス在住の日本人の方が髪を切りにきてくれたり、県外の美容師さんやお客さまが会いにきてくれたりしたこともありました。わざわざ遠方から足を運んでくださったことに驚きましたし、うれしかったです。Facebookでもディスプレイを紹介しているんですが、「元気をもらいました」などのコメントをくださる方や、「最近おもしろくないですね」とダメ出しをくださる方もいて、「あぁもっと頑張らなきゃ」と思いますね。

 

 

ディスプレイ作りはすべて勤務中にお店でやっています。家には仕事を一切持ち込みませんが、朝4時にきて作ることもあります。今はディスプレイのクオリティを上げたいと思うようになり、1つのネタにかける時間が多くなりました。前ほど頻繁に入れ替えはできていませんが、クオリティの高いものを提供できるように頑張っています。とはいえ、そんなに大きな笑いや反響を求めているわけではなく、通りすがりにちょっと見てぷっと吹いてくれればうれしいんです。そのスタンスは今も変わりません。

 

自分や周りの生活に、ほんの少しのユーモアをプラスできれば

 

 

僕は家族が普通に生活していけたらそれでいいと思っているんです。経営のことはそれほど考えていません。奥さんには「ネタに使うお金を生活費として入れてくれ」なんて言われますが、基本的には好きにやらせてもらっています。やりすぎたら奥さんが冷静な判断できちんと止めてくれるのですが、貼り紙自体をやめろとは言いません。

 

手作りのディスプレイは、自分でもどこに向かっているかわからないまま続けてきたし、現在でも着地点は見えていません(笑)。そもそも貼り紙は集客や売り上げを期待してやっているわけではなく趣味に近いので、数字に繋がらなくてもいいんです。お店は奥さんが手伝ってくれていますがスタイリストは僕1人。今後、人を雇ったり、店舗拡大したりなどもまったく考えていません。今いるお客さまを大事にしつつ、時々前髪カットで新規の方がきてくれたらいいな、くらいの気持ちです。

 

美容師として売上を伸ばすことに必死になるより、毎日楽しく暮らすことのほうが大事。そして自分の遊び心によって周囲の人をほんの少しでいいから笑顔にできたら…。そのくらい力の抜けた生き方が、僕には合っているんです。

 

 

 

プロフィール
CHOMO.HAIR
オーナー/國廣朋史(くにひろともふみ)

東京のサロンでアシスタントとして働いたのち、地元の福岡へ戻り1年のブランクを経て再び美容の道へ。2013年に自身の美容室「CHOMO.HAIR」をオープン。異彩を放つ店のディスプレイがさまざまなメディアで取り上げられ、一躍話題に。見た目と相反する親しみやすい人柄と、笑いにおける抜群のセンスでたくさんの人を魅了する。

 

(取材・文/鈴木美奈子 撮影/ヤマモトハンナ)

 

 

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