テレビやネットで話題になったガテン系美容師に突撃! シュールすぎる美容室CHOMO.HAIRの実態
すべてのはじまりは、「前髪50円」の貼り紙
オープンした当初は、まさかこんな風変わりな店になってしまうなんて自分でもまったく想像していなかったんです。完全におしゃれな美容室を目指していましたから(笑)。
最初に貼り紙を作ったのはオープンから2ヵ月後くらい。うちの店は前髪カットが無料なんですが、やはり“無料”と書いてあると人間の心理的に怪しいと思ってしまうんじゃないかと考えました。そこで「前髪50円」と書いてみたら、その看板を見たお客さまがけっこうきてくれたんです。
貼り紙を続けるようになったのは、店の前の道を通った車が意外と見てくれていることに気付いたから。うちの店の前は街と街を繋ぐ道路があり、朝の通勤時間帯には渋滞するほど交通量があるんです。朝の忙しい時間に渋滞に巻き込まれている人たちのイライラを緩和し、心がふっと軽くなるような“何か”を仕掛けたい。そんなちょっとした遊び心からはじめました。
「おもしろい」と言われるとうれしくて、「どうせなら前回よりおもしろいものを作りたい」と火がつき、初回以降はまったく髪に関係のないことも書きはじめました。1枚だけだったのが2枚3枚と掲げるようになったり、貼り紙だけでなく大がかりな創作まではじめたりと次第にエスカレートしていったんです。以前は最低でも週に1回は貼り紙を変えようと思いついたことをネタ帳につけていたんですが、もうそれもすべて使い尽くして今はネタ切れ状態です。
過去にはまさかのトラブルも勃発! 美容師らしからぬ風貌、その理由とは?
手作りのディスプレイを作る上では、見る人がマンネリしないよう、常に新しい切り口のネタを作ろうと心がけています。また、自分がおもしろいと思ったものしか作りません。妥協して作ったものを貼り出した際、ウケが悪く2日で剥がしたこともありました。
気をつけていることは、人が不快に思うことはネタにしないこと。過去にそういった指摘を外部から受けて気づき、反省したこともありました。また以前、ネタとしてうどん屋ののぼりを出したときに、本当にうどん屋だと思ってきてしまう方がたくさんいて、迷惑をかけてしまったことも…。しまいには「飲食店なら届け出を!」と消防の方まできてしまい、本当に反省しました。
“ガテン系美容師”と名乗り、作業着で働きはじめたのは、自分の店を出す前から。当時は下だけニッカボッカを履き、上はシャツを着ていましたが、自分の店をオープンさせてからは上下作業着というスタイルを貫いています。
作業着を愛用しはじめたのは、単純にラクだから。あと、“美容師”と言うと自分の中で中性的なイメージが強かったんですよね。男性でもヘアスタイルや見た目にもこだわるし、おしゃれでスタイルキープも欠かさないような。しかし、僕は自分にすごく甘いのでそういうのは性に合っていなくて。それなら思い切ってその真逆をいこうと思ったんです。
この格好を見た新規のお客さまからは怖がられることもあります。奥さんがカットしてくれるものだと思っていたようで、まさかこんな見た目の僕に切られると思わず、「え…、あなたが切るんですか?」と言われることもありました。
営業中だけでなく休日でも常にこの格好です。子どもの保育園のお迎えもこれで行っているし、コンビニでは「今日はどちらの現場ですか?」と聞かれることもあります。美容組合の仕事に行ったときは「スキンヘッドに作業着はダメ!」と怒られてしまいました。だからもう自分には合わないと思い、それからは組合の仕事には行っていません。
>利益目的ではない。通りすがりに「ぷっ」と笑ってほしいだけ。