数字に基づいた采配で、売上を1.5倍に。美容室経営に求められる「先読み力」とは―CANAANの経営理論<後編>

「売上の上昇率」で飛躍を予想。計算を重ねた、スタッフの割り振り

 

 

2019年1月に『CANAAN』銀座店をオープンしたときのスタッフの振り分けも、銀座で売上の上がりそうなスタッフを予想して割り振りました。売上そのものではなく「売上の上昇率」、「リピート率」を計算して選んだんです。新規出店には、スタッフのさらなる成長を実現し、自分の売上の上限を突き破ってもらうという目的もありました。

 

「上昇率」とは、フリーの入客数や、ホットペッパーからの新規指名率などを計算し、今後売上がどれだけ伸びるかを予測するものです。フリーの入客が多く、きちんとリピートもされるのであれば、売上は安定して上がっていくと予想しました。実際、銀座店に異動したスタッフの売上は、初月の時点で1.3倍から1.5倍に増えました。現在もさらに上昇を続けています。

 

一方の表参道店は、銀座へ移ったスタッフ分の売上が落ちることもなく、高い数字をキープしています。よい相乗効果が生まれていますね。

 

ただ、2店舗に分けて人手が少なくなったこと、銀座店の売上が予想以上だったことで忙しくなり、何人かの離職者が出てしまいました。残念ですが、辞めてしまう子もいるだろうとは考えていたので、早めに新規の採用をすることで対策しています。これも美容室経営で大切な、予測を立てた行動です。

 

 

 

サロン経営は今、大きな転換期。報酬とモチベーションは関係する

 

 

今、サロンは社会保険や労働環境が整っていない従来の美容室経営から、環境をしっかりと整備した会社的な組織への転換期にあります。そこで重要なのは、やはり一人ひとりの生産効率を上げることです。

 

『CANAAN』は単価が1万円以上のサロンです。スタッフはみな、その価格に見合う技術やデザイン、接客を提供できるように教育を受けています。確かな技術と感覚を身につけた、高い売上を持っている子には、それだけの給与を支払うべきです。現在では売上トップの子には、上場企業の40代、50代がもらうような額を支払っています。20代や30代でそれだけの金額がもらえるというのは、夢のある環境ですよね。そうしたスタッフがいれば、今後入ってくる子たちも高いモチベーションを持って取り組めるでしょう。

 

 

>これからのサロンが目指すべき、一人ひとりが自ら判断できる環境とは

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