数字に基づいた采配で、売上を1.5倍に。美容室経営に求められる「先読み力」とは―CANAANの経営理論<後編>

 

 

美容業界全体が人手不足な今、美容室経営に求められるものの一つとして、一人ひとりの生産性の向上が挙げられます。しかし、美容業界では、業務の効率化がクオリティの低下につながる可能性もあるため、生産性を上げるためのテコ入れに踏み切れない美容室は多いのかもしれません。

 

そんな中、『CANAAN』の長崎英広(ながさきひでひろ)さんは、「今、美容室は会社的な組織への転換期。一人ひとりの“生産効率”を上げることは必須だ」と語ります。そこで今回は「生産性」をテーマに、『CANAAN』の数字に基づいた経営理論や組織のあり方をうかがいました。インタビューは前編、後編の2回。後編では、経営者に必要な力と、『CANAAN』が目指す組織について語っていただきました。

 


 

経営者は「先読み力」を鍛えよ。場当たり的なやり方では生き残れない

 

 

スタッフの社会保険や休みを充実させながら成長を続けるためには、経営者は常に先を読み続ける必要があります。社会保険もなく、労働時間も無視した昔ながらの美容室ならともかく、今の美容室経営は場当たり的なやり方ではとても生き残ることができません。

 

例えばスタッフが離職したとき。『CANAAN』でも2016年に、売上を持っていたスタッフが一人退職しました。スタッフが10人ほどしかいない中で、一人抜けることは大きな影響があります。

 

ただ、オープンから4年が経っていれば、そろそろ誰か辞める可能性は十分に考えられること。だから、そうなっても大丈夫なように中途採用者を早めに育てておいたんです。結果、2016年の『CANAAN』の売上は前年比約97%。はじめてのマイナス成長ですが、主力のスタイリストが辞めたことを考えると、影響は最小限に抑えられたと思います。翌年からは再びプラス成長に転じました。これはやはり、先を読んで行動していたからこそだと思います。

 

会社の経営が悪化すれば、スタッフの給与や労働条件に直に影響します。そうならないためにも、計算し、慎重に予測を立てながら経営をしていく必要があります。

 

 

 

>計算を重ねた、表参道店と銀座店のスタッフの割り振り

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