特集「あたらしい美容室」-美容師が提供する“美しい”の意味って?-
美容師と出版関係者、震災をきっかけに
-美容室にヘッドスパやエステのサービスがあるのは、よく耳にするのですが、本屋やカフェ、イベントまで展開しているサロンは初めて聞きました。なぜこのような複合店を始めたのですか?
「複合店である『brisa plus』は昨年オープンしましたが、実は『brisa』自体は今年で10年目なんです。独立して、表参道の少し路地の入ったところに最初のお店をオープンしました。特に立地が良かったわけでもなかったので、なにか付加価値がないといけないと思ったんですね。その当時から、ヘッドスパやハンドマッサージなど、さまざまなサービスを提供していました」
-それがどうして、ブックカフェまで手がけることに?
「『brisa plus』は、サロンワークを中心とする1F『brisa』と、ブックカフェ、イベントなどを手がける2F『brisa libreria』の2つのブランドから成っています。実はそれぞれに経営者がいまして、『brisa libreria』はもともと出版業界で本に関する仕事をしていた元木さんが経営をしています。彼女との出会いが今回のような複合店になったきっかけです」
-美容師と出版関係者。異なる業界のお二人が一緒にお店をオープンさせることになったのは、なぜなのでしょうか?
「東北の震災が私と彼女の仕事観に大きく影響を与えました。あの時、みんなの心のバランスが崩れていたじゃないですか。私は私で、『今、本当にやるべきことは何か』というのを考えていましたし、彼女はそれまで出版業界の中でも、ECや電子書籍などハイテクな業務に時間を追われる仕事をしていましたが、震災をきっかけにふと『私なにをやってたんだろう』と思ったそうです。『もっと人の役に立つ仕事をしたい』と。そこで“ホリスティックなサロン”というテーマを掲げて、バラバラになったココロとカラダと魂をもう一度調和させる。内面からキレイになったり、穏やかな気持ちになれるものを提供しようという話になったわけです」