人気サロンがイチオシする「美容師ブレイクスルー白書2019」。 第5回目は、国内屈指のデザイナー集団MINXでひときわ輝く新鋭トップデザイナー/後藤 晃成さん
デザインをする上でのバランス感覚には自信あり
Q.美容師として大切にしていることを教えてください。
A.「バランス」
撮影とサロンワークのどちらにも共通して言えるのは全体的なバランスですね。僕はこれといった特技はないと思っています。自分のセンスがいいと思ったことも、一度もありません。なんとか得意分野をつくるためにもがいてきたのですが、MINXの幹部から「後藤の作品はバランスがいいよね」と言われるようになってきました。
作品撮りをするときは、衣装も自分で集めるし、メイクも自分でやりますし、撮影も自分でします。モデルさんの顔、体系、衣装、メイクに加えてロケーションにあった撮影をするから全体としてのまとまりが出せるのだと思います。だから、どんな撮影でも80点は狙える自信があるのですが、一方で突き抜けられないのが悩みでもあります。代表の岡村にも「なんかもうちょっとなんだよな」と言われることも。「後藤はバランスがいいからそこを伸ばせ」と言ってくれる人もいるので、どちらも伸ばせるように試行錯誤していきたいですね。
サロンワークも考え方は同じです。お客さまのカウンセリングに入る前に、一歩引いてお客さまの全身を見ています。その上で、会話の中で好きな服装やメイク、髪の毛のお手入れの仕方などを引き出して、「ちょっとチャレンジですけれど、こういうショートにするとファッションとの相性がいいですし、抜け感も出せますよ」とか「今コスメは黄色系が好きなんですね。じゃあ髪色は落としすぎずに明るめでもいいんじゃないですか」などと提案することができるんです。これは、全体のバランスを見ていないとできないと思っています。ほかにも、Instagramを見てきてくださるお客さまは、「あの作品の空気感が好き」とかそういうふんわりしたご要望が多いです。そこでもやはり、お客さまのファッションや生活スタイルを踏まえた上でバランスを考えて、どれだけ満足してもらえる提案ができるのかが大事なのかなと思っています。
サロンワーク脳を鍛えるための1年だった
Q.2018年はどんな年でしたか?
A.「サロンワークに没頭」
その前の2017年の話からさせてください。2017年はまだアシスタントだったのですが、ヘアショーで代表の岡村と一緒のステージに立ったり、会社説明会で話をしたりと、身の丈に合わないような場に立たせてもらいました。もちろん、そのために猛勉強した時期でもあります。全然時間が足りなくて、コンテストの準備をして、そのままサロンのソファで眠ってしまったこともありました。かなり追い込まれましたけれど、自分をアップデートするいい一年だったと思います。
2018年は、デザイナーとしてデビューした年です。2017年とは変わって、サロンワークに没頭した一年でした。自分のデザインを求めてお客さまがきてくださることがすごくありがたかったですし、実際にカットしていいと思ってくださったお客さまが、再来店してくださったこともうれしかったですね。コンテストはほとんどお休みにして、サロンワークの技術を磨くことと、お客さまの幸せにすることを一番に考えてきました。
売上も順調に伸びていますし、新規のお客さまにもきていただいています。お客さまへの提案は今も試行錯誤していますが、なんとなく手ごたえを感じられるようにもなってきました。そろそろショートに飽きてきたというお客さまに次は何を提案するのか。ショートで新鮮さを感じていただくスタイルはないのかとか、いろいろと考えるのが難しいですが、サロンワークの醍醐味とも言えますよね。ほかにも、売上の目標に対してどれだけの入客が必要なのか、そのためにどんな集客をするのか、どんな武器が必要なのか。足りない部分はどうやって勉強しようか…という具合に、日ごろからサロンワーク脳を鍛えている最中です。
サロンワーク中心の1年を過ごしたことで、視野も広がったと思います。お客さまは年齢も、職業も、服装もさまざまです。そのお客さまを満足させるためには、デザインの引き出しが必要になります。また、デザイナーとアシスタントでは、視点が違いますよね。視点が違うということは見える角度が違います。角度を変えると新しいものが見えてくるんですよね。先輩デザイナーと同じ視点に立つことで、その人のこだわりなどが見えてきて、あらためて勉強になるなぁと思っています。