利益度外視！？ ビールを販売するサロンにビールにまつわるアレコレを聞いてみた
2017年はじめに、クラウドファンディングで「世界のビールが飲めるちょっと変わったおかしな美容室に改装したい！」というプロジェクトが立ち上がったのはご存知ですか？ 下北沢にあるT:Luckといヘアサロンでビールを販売するために酒類販売の資格を取得し、現在500円からビールを提供しているサロンです。そこでT:LuckのTOSHIさんにビールとお客さまにまつわるアレコレを聞いてみました！
−まず、ヘアサロンでビール販売をはじめたきっかけは？
海外一人旅をしているときに、バーに行くと隣のおじさんが親切にオススメのビールを教えてくれたり、おごってもらうこともあったりするんですね。見知らぬ隣人と気軽に会話する文化って日本にはなかなかないけど、海外だと普通ですよね。
日本でも人と気軽に話せる場を提供したい、と思ってはじめたサロンなんです。ビール販売はその中の潤滑剤の様なサービスの一環です。
−ビールがきっかけの来店はあるんですか？
はい、ありますね。
友人から「ビールが飲めると聞いて」といった紹介や、下北沢でヘアサロンを探している人がメニューにあるシャンプー+ブロー+ビールで2,500円のメニューをご覧になってご来店くださったり。
今ってどこのサロンを見てもメニューは似通ってきてしまう。そうするとお客さまもどこがいいのかわからないですよね。メニューの中にビールというキーワードが入っていると、他サロンとの差別化もできる。ビールが集客のフックになっていますね。
この看板を見て、ふらりと訪れる外国人観光客も後を絶たないんだとか
−現在ビールは8種類ありますが、銘柄はどうやって決めているんですか？
実は、ビールの値段は500円から。基本は500円にしているので、ビールで利益はとっていないんです。だから、仕入れるときの値段や、全て自分で試飲してから人にオススメできるビールを選ぶこと、また自分の好みに偏らないように気をつけて仕入れています。
−ではこの中で今のオススメは？
右のEdelwissと真ん中のRoseeは甘みがあるので女性にもオススメです。
日本はどうしてもビールというと辛口、ドラフトのものをイメージしますが、甘みのあるものもあるんです。しかし、海外ビールは日本の法律で発泡酒のジャンルになってしまうのですが、甘みのあるものもビールです。
ビールが苦手というお客さまにも受けいれてもらえる銘柄です。
−お客さまで最高どれくらい飲まれましたか？
8本だったかな？
でもヘアサロンで飲んでいるせいもあって、皆さんそんなに酔わないですよ。
それに酔いそうな人はこちらもストップかけさせていただきます。あくまでサロンでビールを販売しているのであって、酒場ではないのでそこを履き違えないようにこちらも気をつけます。
−ビールで利益を取ることを選ばなかったのはなぜですか？
ビールはあくまで広告宣伝料の一環です。
ヘアサロンでビールを販売するなんて珍しいですよね。そうするとお客さまがfaceebookやインスタグラムで拡散してくれるので、利益は出ませんが長期的な目線で見るとビールの宣伝効果には期待ができますね。
−先ほど知らない人と話せる場を提供したいとおっしゃっていましたが、現状ではビールを介してそのようなコミュニケーションに発展することはありますか？
はい、やはりアルコールが入っているとコミュニケーションが取りやすいのか、知らないお客さま同士で友達になって、施術が終わった後にランチを食べに行かれる方もいますね。印象としては女性同士の方が仲良くなりやすいでしょうか。
−今後はどんなお店にしていきたいですか？
僕個人としては、美容師は人と人をつなげる仕事だと思っています。ヘアサロンのくくりでお店をやっているつもりはないんです。このサロンでたくさんの“知る”きっかけを作ってもらいたいですね。
イベントも行っているので、イベントで自分の知らないことを知っている友達ができたり、趣味が増えたり、それこそビールが嫌いだったけど、このサロンで勧められたビールを飲んでみたらビールが好きになることも“知る”きっかけですよね。
これからももっとT:Luckらしい個性を出して、下北沢ならこの店！ という強い色を出していきたいですね。
- プロフィール
-
T:Luck TOSHI
六本木ハリウッド美容専門学校卒業後、都内サロンで15年勤務後、フリーランス美容師として活動。フリーランス美容師の時に海外旅行に目覚め、自分のやりたいお店のスタイルを見つけて、2016年8月に下北沢に[ビールが飲めるちょっと変わったおかしな美容室 T:Luck] をオープン。
tluck.jp
（取材・文・撮影／高橋 優璃）
