「スタッフが幸せなら、儲けは勝手に付いてくる」カラー専門店をオープンしたapish坂巻哲也さんの経営論

“スタッフ第一主義”“凡事徹底”マッキー流の成功法則

 

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そのほかには、どんな社員教育を行っているんですか?

 

うちの基本理念のなかに、“ABC”というのがあります。『A=当たり前のことを、B=バカにしないで、C=ちゃんとやる』。挨拶、掃除、あと親孝行。当たり前のことがきちんとできない人が、当たり前じゃないことをやろうとしても絶対に失敗する。とにかく僕は凡事徹底で、毎週休日にCOLOR TERRACEに行って、お客さまへの挨拶とトイレ掃除をしています。以前こちらで受けた取材でも申し上げましたが、マッキー(坂巻さんの愛称)の徘徊デーを設けていて、1日かけて全店を回って、すべてのトイレをピカピカに磨きます。社長自らが一番汚くて嫌なことをやる。『やってやった』じゃなくて、『やらせていただいた』という気持ちが大事なんです。

 

坂巻さんが経営者として、もっとも大切にしていることは何でしょうか?

 

お客さまには申し訳ないのですが、うちは“スタッフ第一主義”なんです。一番大事にしているのは社員で、お客さまが第一ではない。スタッフが輝くことによって、結果的にお客さまにも喜んでいただける。儲けは必ずあとから付いてきますから。僕は接客の基本は親孝行だと思っていて、誰が一番親孝行をできたかを競う『親孝行チャンピオン』も実施しています。うちの入社式は感動ものですよ。本人に内緒でご両親から手紙を預かっておいて、当日に読むんです。人の心を動かすのは感動であって、感動がないものは価値がない。そうやってスタッフに日々感動を与えて心を磨いていくことで、お客さまを感動させられるようになるんです。

 

店舗経営だと、『行列のできるラーメン屋』を目指しています。ラーメンを食べるために、開店前から並ぶ人がいたり、遠方から足を運ぶ人がいたり、店のスタンスに合わせてお客さまがきてくれる。なぜかと言うと味やサービスの独自化ができているからです。美容室で言えば、独自のスタイルや居心地の良さを提供できるかどうか。1つの都市に同じサロンは2つもいらないわけだから、ターゲットを絞って、店ごとにオリジナルの魅力を打ち出していくべきです。

 

今後、apishをどう展開していこうと思っていますか?

 

店舗を運営していくにあたり、何より大事なのが“人”です。僕は“人材”ではなく、“人財”と呼びます。人は材料じゃなくて、財産ですから。美容業界で活躍できる人財を育てていって、独立を希望する子には、新たな独立システムを作って支援したいですね。一生apishファミリーとして、みんなが幸せになれる強い会社を作って、美容業界全体をより良くしていきたいと思います。

 

僕は元々、これからやりたい仕事や成功した姿を記す『引き寄せノート』を書いていたんですが、今はそれを進化させた『未来地図』を作っています。大きなコルクボードに、尊敬する人や自分がやりたいことやほしいものの写真を貼っておくんです。毎日それを見て頭のなかでビジョンを描くことで、どんどん理想に近づきます。

 

個人としては、『マッキーの独り言』の内容をまとめた本を出版したいと思っていて、着々と準備を進めています。その次は、コメンテーターですね。死ぬまで永遠にチャレンジし続けますよ。チャレンジしなくなったとたん、人は老けますからね。

 

プロフィール
apish
代表取締役/坂巻 哲也 (さかまき てつや)

1998年にapish設立して以来、業界を牽引する存在として知られる。サロンワークのほかに、独自の技術理論を用いたセミナーやヘアショーを全国各地で開催。スタイリング剤や美容器具などのプロデュース業にも携わり、ヒット商品を次々と生んでいる。

 (取材・文/高良 空桜  撮影/久保田 明)

 

 

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