「スタッフが幸せなら、儲けは勝手に付いてくる」カラー専門店をオープンしたapish坂巻哲也さんの経営論
オープン初日のお客さまはたった1人。代表が自らポスティングも
-低価格で質のいいサービスをお届けするために、どんな企業努力をされていますか?
一番はカラーのクイック化ですね。短い時間でしっかり染まる薬剤を導入して、塗り方のトレーニングを徹底的に積みました。早く染まる分、タイミングが遅れるとくすんで暗くなったり、左右の色が変わってしまったりするんです。あとはブローやプレシャンプーなどのムダを省きました。
-オープン当初は、どんな状況でしたか?
実は……、オープン初日はお客さまがたった1人でした(笑)。宣伝しなくても、apishのホームページでお知らせしているので大丈夫だろうと思っていたら、大失敗。通常は初日って満席なんですよ。『これはマズイ!』と思って、僕がポスティングしましたから(笑)。バレないようにマスクをして、たくさんの広告を配りました。スタッフもビラ配りをしてくれて、その努力と口コミで、徐々にお客さまが増えていきました。
今では、リタッチのお客さまが最短で2週間のサイクルできてくれています。平均でも3週間。おそらく、ブランド店のなかで、来店サイクルが日本一短いのではないでしょうか。リピート率も約90%と高い数字を誇っています。
-COLOR TERRACEをオープンしたことで、apishにどんな影響がありましたか?
COLOR TERRACEでapishのファンになってくださったお客さまから、『髪型のデザインもしてほしい』との声が挙がるようになり、そこからapishにも来店してくださるようになりました。ただ、銀座や青山は敷居が高い、遠くて通えないというお客さまもいらっしゃるので、今年3月1日に横浜市港北区の商業施設『トレッサ横浜』内に、新店舗『apish coco』をオープンしました。ひとつ新しい挑戦をすると、必ず次につながる足掛かりになるんです。スタッフのために作った店舗ですが、結果として利益が生まれています。
-スタッフさんの技術向上や働き方にも影響はありましたか?
オープンした当初、責任者が店に常駐していなかったため、ちょっとしたトラブルに対応できなかったことがあったんです。そこで採用したのが、“全員責任者システム”。COLOR TERRACEに限らず、全店で実施しました。すると、社員から意見がバンバン出てくるようになって。それに対して、僕が『NO』と言うことはまずありません。軌道修正をすることはありますが、基本的に何でもやらせます。そうやって積極性が身に付くとともに、接客がみるみる上達し、お客さまの心が掴めるようになりました
そんななか、COLOR TERRACEにママ美容師の店長が誕生して。彼女が精神的なアドバイザーになってくれているので、若いスタッフは彼女によく相談していますね。若いスタッフはCOLOR TERRACEで“心の洗濯”ができるんです。