ギャルブームが令和に再来! ギャルヘアのプロANKH CROSSに聞く、ギャル文化を支えるエクステ技術の進化とは?
平成とともに生まれたギャル文化。アムラー、カリスマ店員ブーム、ギャル系雑誌モデルまで、さまざまな変遷を遂げるなか、ヘアスタイルもそれに呼応し、エクステ、ガンメッシュなど多様なスタイルが生まれました。ここ数年は一時ほどの勢いがないと思われていたギャル文化ですが、令和に入り雑誌『egg』が復活を果たすなど、再び注目が集まっています。
そこで30年に渡りギャルヘアを牽引してきたサロン「ANKH CROSS(アンククロス)」の本間寛人(ほんまひろと)さんに、ギャルヘアのこれまでと、ANKH CROSSがギャルたちに支持され続ける理由を伺いました。
ギャルと歩んで31年、ANKH CROSSが見てきたギャルヘアの変遷とは?
ANKH CROSSは創業31年、ギャルたちの誕生から今までを見てきました。特徴的な強みが、エクステンション(エクステ)技術です。池袋で創業した当初、社長が「他ではできない技術をしたい」とエクステを取り入れたと聞いています。
社会的に「ギャル文化」が広がったのは、1995年ごろ。安室奈美恵さんの登場で一気に流行となりました。当時のヘアスタイルの特徴は、茶髪ロングのセンターパートストレート。ロングヘアって、それまでは長年の時間をかけて伸ばすしかありませんよね。でも、ギャルたちはすぐにでもカリスマ的存在を真似たいわけですから、髪が伸びるのなんて待っていられません。
そこで髪型の変化をより自由にしたのがエクステです。それまで美容室といえば“髪を切る”、つまり短くすることしかできなかったのが、エクステを使えば髪を長くすることができる。エクステの出現によって、当時のギャルが求める表現を叶えることができるようになったのです。
その後も、ギャルスタイルは明るい髪色とロングスタイルを特徴に変遷を遂げます。安室奈美恵さんの少し後には、日焼けした真っ黒な肌色にプラスして髪色をより明るくし、目立つ化粧をした「ガングロ」や「ヤマンバギャル」が流行りました。
次なるターニングポイントは、1990年代後半に登場した浜崎あゆみさん。ヘアスタイルの特徴は、ブリーチをかけた金髪に近いハイトーンカラー。巻き髪やレイヤースタイルが流行しました。この時代は、109カリスマ店員ブームも重なり、より個性的なヘアを求められるようになっていきました。
その後、2000年代にギャルのカリスマとして登場したのが、倖田來未さん。金髪に黒メッシュなどの「ガンメッシュ」と呼ばれるコントラストの効いたスタイルが増えました。合わせて、編み込みエクステをされる方も増え、渋谷近辺ではエクステ専門店の出店が相次ぎました。
私がANKH CROSSに入社したのは、ちょうどこの時代です。ギャル文化が好きだった私も「美容師になるならエクステができるようになりたい!」と、ANKH CROSSに入りました。当時は編み込みエクステの時代。技術は入社後すぐにみっちり仕込まれましたね。
2000年代後半には益若つばささんや今井華さん、2015年前後には藤田ニコルさんやみちょぱさんのような雑誌モデルが、より身近なギャルのお手本として登場しました。ヘアスタイルの傾向は、昔よりも一般的に受け入れられやすい柔らかいスタイルになってきたように感じます。2010年代に入りエクステ技術がシールエクステに変わって、より目立ちづらく自然なエクステになったことも、ナチュラル傾向を進めたかもしれません。
一方で、世間の女の子たちが真似たいと思うアイコンが圧倒的な一人のカリスマではなく、分散するようになったことも、実際にカウンセリングを通して感じてきました。その影響でギャル雑誌が休刊するなど、ギャル文化の勢いが衰えたように見える出来事もありました。
しかし、自身のスタイルに強くこだわるギャルが絶滅することはありませんでした。平成から令和に変わった2019年5月に雑誌『egg』が復刊。90年代〜2000年代前半のギャルヘアがここにきて再注目されています。
この1〜2年、新時代のモデルたちが90年代のギャル雑誌の写真を手にANKH CROSSへ来店し「このギャルヘアを再現したい」とオーダーすることが増えています。さらに彼女たちが、自身の90年代ギャルヘアスタイルを雑誌やSNSで発信し、フォロワーが真似する…というのが今の流れですね。近年のティーン〜20代前半の女性たちは、センターパートストレートやガンメッシュなどパンチの効いた90年代〜2000年代のスタイルを斬新で新鮮に感じているようです。
一方で、当時のスタイルを再現していても、今は昔ほど色がごちゃごちゃした感じではなく、コントラストも含めてより透明感のあるキレイめなカラーが主流になっているのかな、と日々のサロンワークで感じています。