オリジナルのヘアカラーメソッドを発信中!オンラインサロンで美容師の心を掴む山崎健吾さんの新感覚教育論【後編】
オリジナルのヘアカラー理論と、基礎の“不”の本質を共有
『HAIR COLOR ACADEMY』を立ち上げた理由は、サロンワークで生まれるカラーに対する“不”を解消したいという思いからでした。どのお店でもヘアカラーの基礎を学びますし、最初は僕もそれで十分だと思っていたんですね。でも、実際は「イメージの色がうまく作れない」とか、「インスタで見る綺麗な色がなかなか作れない」というような悩みを多くの人たちが抱えています。だから僕が考えたゼロイチのヘアカラー理論や、学生でもトップスタイリストでも作れるような基礎の“真”の本質だけを詰め込んで、パッケージングしました。オンラインスクールでは、それを共有しているんです。
コンテンツは、基礎とデザインを画像や動画で週に1回以上配信し、税込み5980円。美容学校生からオーナーさんまで幅広い層の会員がいて、メイン層はカラーの学びを深めたい人と、カラーの指導者であるスタイリストやオーナーさんです。今、約1400人います。
オンラインスクールは、自分で運営しています。立ち上げるときにプラットフォームをいろいろ調べたのですが、どこも手数料が20%くらいかかりますよね。これいる…?と、ずっと思っていたんです。日々の自分の発信が鍵になるわけだから、自分でやることにしました。
オンラインスクールの収益は業界に対して還元していかなければ意味がないと思っています。これから展開していく実店舗や商品開発、コンテンツのクオリティを高めるために活用していくつもりです。
美容師の価値を高め、働く環境を改善して底上げを目指す
今後の展開としては、店舗経営に力を入れていく予定です。これまで独立のタイミングはいっぱいありましたが、やらなかったのは勝ち筋が見えなかったからなんですね。お店を出すことは簡単ですが、出店がゴールではないので。目標から逆算で考えないと、うまくいかないと思っていて。作るお店は、髪の悩みを抱える世代に向けた、お悩み改善のカラー専門店です。
まずは1店舗目を作って運営してみて、そこでの経験を踏まえて3〜5年かけて全国展開していきたいと考えています。僕は“美容師ファースト”なので、目指しているのは美容師にとって良い環境をつくること。給与面も教育面も含めて、環境を整えていきたい。職業価値を底上げして、業界のムードを良くしていきたいんですよ。
最初のスタッフは、自由な働き方を希望する人のためにも業務委託にしようかなと考えています。スケールが前提なので、一環したマニュアル化を図る予定。スタッフの採用基準は、それに合わせたものになるかなと思います。僕みたいに協調性がない人だと難しいので(笑)、性格は真逆で人間性が高い人がいいですね。
一般的なサロン経営と違って、うちはオンラインスクールのキャッシュ・フローがあるので、ある程度は還元できるんですね。赤字になる可能性があっても、ショートする可能性はありません。また、店舗ができたら、カラー剤に入れるケア剤なども作りたいなと思っているんです。「こういうのがあったらいいな」というイメージはすぐ頭に浮かびますし、それを商品化するノウハウもすでにありますから、ツールも含めてプロデュースしていこうかなと思っています。
フリーランスになってからはすべて自分で考えて動いてきたので、イノベーティブに見られることもありますけど、『note』の発信から物販という流れなどは、他業種ですでに前例がある成功モデルです。それをそのままやっていただけなので、ゼロイチで僕が考えたわけではないんですよ。他業界では当たり前のことだったりするので、どこから情報を仕入れているのか、ということだけだと思います。常にアンテナは張っていますけどね。
美容師はブランディングも必要だし、営業力や接客能力などいろいろな能力がトータルで必要ですよね。自分を“小さな会社”だと思って行動していくと、伸びやすいと思います。僕もトライ&エラーを繰り返しながら、進んできました。今後も美容師が幸せになれる道筋を作れるように頑張っていくので、店舗出店もぜひ楽しみにしていてください。
- プロフィール
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山崎健吾 /フリーランス美容師
1992年、福島県生まれ。山野美容専門学校を卒業後、都内のサロンに就職して1年半でデビュー。腕を上げて地元の人気サロンに転職し、250名のスタッフで営業成績トップを獲得。3年後、子供が産まれたことを機に家族で再度上京し、人気サロンで働きながらカラーの技術をさらに高め、SNSマーケティング、色彩学、心理学を習得。半年後の2019年、フリーランス美容師になり、臨店講習・セミナー活動やオンラインスクール運営、コンサル、YouTubeなど幅広く活動中。
Instagram: @ kengo_yamazaki_
(文・織田みゆき 撮影・松林真幸、トカジショウタ)
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