どうする? お客さまに結婚式のヘア&メイクを頼まれた! 〜美容師が担当するウエディングのヘア&メイク 準備から当日の動き、ヘアデザインのポイントまで
美容師なら、そう特に女性美容師なら一度は夢に見たことがあるのでは? 大好きなお客さまの幸せな瞬間に、美容師として立ち会うことを−−。
以前は結婚式会場が指定するヘアメイクに依頼することが慣例でしたが、最近では結婚式のあり方も多様化し、外部のヘア&メイクが入れる式場も増えています。ウエディングメニューを用意していないサロンでも、お客さまから結婚式のヘア&メイクを相談される可能性も。もしお受けするとなったなら、どんな準備をして、当日はどう動いたらいいのでしょう? ウエディングメニューを展開している「ANTI」のCHIIさんに教えていただきます。
準備編:美容師だからできる、当日に向けたヘアづくり
-ANTIではいつ頃からウエディングメニューを展開しているのですか?
18年くらい前から展開しています。大々的に宣伝しているわけではありませんが、サロンのお客さまを中心に継続して一定数のお客さまがいらっしゃいます。私もアシスタントの頃から先輩についていかせていただいて、これまで数えきれないくらいのお客さまのウエディングに立ち会わせていただきました。
-ウエディングメニューは既存のお客さま限定ですか?
既存のお客さまが圧倒的に多いですが、新規の方もいらっしゃいます。撮影に参加したウエディングのヘアカタログを見てこられる方や、ホームページを見てこられる方。以前はウエディング用のアクセサリーブランドも展開していたので、そこからの集客につながることもありました。
-ウエディングのヘア&メイクというと、リハーサルなど当日を迎えるまでにもやることがあると思います。まずは当日までの準備について教えてください。
ベーシックな結婚式を例に話していきますね。だいたい半年から3カ月くらい前までにご連絡をいただくことが多いので、まずは日程の確保をします。予約を切らないといけないので。それからお客さまと当日のイメージを共有しながら、ヘアの準備をしていきます。
-ヘアの準備、ですか?
はい。挙式が決まった時点で、普段のやりやすさも兼ね備えつつ、当日に向けたヘアをつくっていきます。目標のレングスを決めたり、顔まわりや前髪の雰囲気を決めたり。
ヘアカラーも明度が高いほうがやわらかさが出て、ディテールも引き立つので、明るくできる方は徐々に明るさを上げていきます。一気に上げるとダメージにもつながりますからね。ほとんどの場合、当日はホットカーラーかアイロンを使うのですが、ベースとしてパーマをかけておく場合もあります。
-美容師だからこそできる準備ですね。ヘアやメイクのイメージはどうやって決めていくのですか?
普段のご来店時にお話しながら、イメージの共有を図っていっています。またこまめに連絡をとるようにもしています。当日のプランが決まったら教えていただいたり、こちらからヘアのアイデアを送ったり、ご自分で検索していただいたり。連絡をまめにとりあうことで、当日に向けての信頼関係も築いていけます。
おまかせとおっしゃる方でも必ず好みや、理想のイメージを持っているはずなので、それを引き出していくことを大切にしています。
-リハーサルはどのタイミングで?
式の1カ月前から2週間前くらいが目安。ドレスやベール、アクセサリーが決まった段階でヘア&メイクのリハーサルをします。挙式と披露宴のお色直し、二次会まで担当する場合、だいたい2時間か3時間はリハーサル時間をとっておきます。片手間ではできないので、リハーサルの際は予約は切ります。
リハーサル後、両家のご両親や旦那さまに確認をとられる方もいて、たまに再リハーサルが必要な方もいらっしゃいます。だから1週間前だと遅すぎますね。
リハーサルではドレスなどはサロンに持ってはこられない場合がほとんどなので、ご自身が装着している写真を撮ってきていただいて、それを見ながらヘアやメイクを決めていきます。一応ベールはサロンにも用意していて、お客さまがイメージできるようにもしています。
-その他やっておくべきことはありますか?
リハーサルのときは仕上がりの写真だけでなく、プロセスの写真も撮っておくようにしています。当日はかなりタイトなスケジュール。自分たちが迷わないようにプロセス写真を確認しながら仕上げていきます。
またお客さまを通して、会場に用意されているものや部屋の状況も確認しておくこと。ホテルの控え室のように整った環境の場合もあれば、レストランウエディングでは鏡もない小部屋ということも。何があっても大丈夫なように、荷物の準備を整えておきます。