Valentineの中島さんに聞く、SNS でムーブメントをつくる方法
SNSを利用し続けるのは「存在を忘れられないため」
-メリットづくしな気がしますが、Instagramのデメリットはありますか?
「“今イケてるサロンかどうか”や“上手い下手”をフォロワー数で判断されてしまうこと。数字で表されるのって、いい面もあればストレスにもなる。気にしなけりゃいいと思っても、人間なんでやっぱり気にはなりますね。僕らは技術職なので、SNS上の数字で判断されるのは何か違うなと。あとは、Instagramは写真を加工できるのが若い世代に人気な理由だと思いますが、素人の作る雰囲気だけ玄人っぽいキャッチーさがウケて、プロの作ったものに興味を持たれなくなってしまうことが美容業界的に危険だなと感じます。なので、発信する側もプロならではのクオリティを考えていかないと、最終的に飽きられてしまうと思ってます」
-次に注目しているSNSツールはありますか?
「それを常に考えているんですが…。今インスタ以上に見られていて、使いたいと思うものがあんまりなくて…。ただ、見せ方は変えていきたいですね。これまでは何となくおしゃれっぽいものが流行っていた気がしますが、最近はもっと現実的なものへの関心が高まっていると思います。ファッションならファッション、ヘアならヘアといった専門的なものが注目されてきていると僕は感じています。なので、『こういう色はValentineにしかできない』と思わせられるような、うちならではの特化した技術を見せていけたらなと。ここ数年、そんなことを考えています」
-それでもValentineがSNSを使い続ける理由とは?
「今って情報がすごい早いスピードで更新されていくから、メディアについていかないと忘れられちゃう。僕がSNSを始めた根本の理由は、“お店の存在を世間に忘れられないため”なんです。昔は雑誌に載れば有名店になれたけど、今の時代は自分で発信していかないと存在自体も知ってもらえなくなる。ただ、雑誌に出ているサロンではありたいしクオリティも上げていきたい。それと同時に、SNSでも人の目につくようなものを変化させながらやっていかないといけない。地方で好きなお客さまだけ好きなペースでやるなら、また考え方は違うと思うんです。でもわざわざ原宿で店を持ったからには、自分たちが髪を作りたいと思うお客さまを呼びたいと思うし、どんな形でもその夢を実現させていかなきゃいけないと思うんです」
<プロフィール>
中島正登/Valentine代表
都内有名サロンの人気スタイリストとして活躍したのち、独立。2007年に原宿のキャットストリートに「Valentine」をオープン。個性的でアンニュイなカット&カラーリングがアパレル業界やストリートのファッショニスタに支持され、一躍人気サロンに。原宿界隈のヘアやファッションの旬を発信する情報交換のコミュニティサロンとしても認知されている。
(取材・文/QJナビ編集部)