セルフカット動画が1000万再生! レディースを捨ててメンズで成功したALBUM翼のブランディング戦略
「この人みたいな髪型にしたい!」——そんな指名が絶えない人気スタイリスト、ALBUM SHIBUYA PARCO(アルバムしぶやパルコ)店の翼(つばさ)さん。高校時代の何気ない一言をきっかけに美容師を志し、試行錯誤の末に行き着いたセルフセット動画がSNSで大ヒット。多くの男性が来店するようになりました。しかし、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかったそうです。紆余曲折を経て確立したメンズビューティーのスタイル、そしてこれから目指す未来についてお話を伺いました。
「向いているんじゃない?」の一言に背中を押され、美容の道へ
美容師になったきっかけは、高校生のときに通っていた美容室の美容師さんに「進路どうするの?」と聞かれたことです。「決まってないんですよね」と答えたら、「美容師いいんじゃない?向いてると思うよ」と言われて、それで決めました。もともとヘアセットが好きで、高校時代も毎日30分くらいかけて髪をセットしていました。高校2年生くらいのときから地元の美容室でバイトをさせてもらい、卒業してすぐに通信課程に入りました。オーナーから「通信で全然いいよ。通信のほうが早く現場に入れるから」と言われたのが理由です。それに従って通信課程で免許を取ることにしました。
ただ、19歳のときにやっぱり東京への憧れが強くなって、都内で働いてみたいなと。そして、美容師免許を取得したタイミングでALBUMに中途入社しました。地元で美容師経験を積んでいたものの、アシスタントからの再出発です。デビューまで大体4年ほどかかり、25歳でスタイリストデビューしています。
最初はレディースのショートの打ち出しから始めて、その次はストリート感のあるハイトーンを打ち出そうと思い、Instagramにもブリーチを使ったデザインカラーを載せていました。ただ、それも周りとの差別化ができていないなと感じて、今度は当時流行り始めていた韓国風スタイルに挑戦。前髪や顔周りのデザイン、くびれヘアなどがこれから流行りそうだなと思って打ち出したんですが、また結果が出ず……。フォロワーは5000人くらいいましたが、投稿をしても、新規のお客さまが本当にまったく来ない状態で、試行錯誤を繰り返していました。
占い師を信じてメンズ一本に絞る
ある時、先輩から「自分のスタイルも載せた方がいいよ」とアドバイスをもらったんです。でも、最初は自分の顔を出すのがちょっと恥ずかしくて「いや、大丈夫です」みたいな感じで断っていたんですよ。でも、数字がなかなか伸びなかったので、「ちょっとやってみるか」と思い、自分のヘアスタイルやヘアセットの様子を投稿してみました。すると、それを見て来てくださる男性のお客さまがちらほら出てきたんです。「これは、もしかしたらそっちに振り切った方がいいんじゃないか?」と感じて、メンズスタイルにシフトしました。
ただ、その当時はALBUMにはメンズを打ち出している美容師がほとんどいなかったんですよね。なので実際にメンズの強いサロンに行ってカットしてもらったり、海外のスタイルを見て「これかっこいいな」と思ったらウィッグで試してみたり、そういうことを繰り返していました。
レディースの打ち出しをやめてメンズに完全に切り替えるのは、かなり悩みましたね。そんなときに、お客さまに紹介されて占いに行ったんです。「メンズに絞ってやっていきたいと思ってるんですけど、どう思いますか?」って相談したら、「いいと思いますよ。ただレディーススタイルに戻っちゃダメ」というアドバイスをもらって、それを忠実に守っている最中です(笑)。