お客さまの悩みを店販につなげよう! 人気5サロンの店販のプロが教える、売れる接客術6月梅雨編
会話の中でお客さまをリードし、自然と店販へつなげるための秘訣とは?−MINX 花渕 慶太さん
−6月にお客さまから受けることが多い、ヘアケアのトラブル・悩みを教えてください。
・湿気の影響による、ボリュームの出方やうねりなどのお悩み
・高温多湿による、匂いやベタつきといった頭皮トラブル
―そのようなお悩みに対し、どの商品をおすすめしますか?
頭皮ケアに炭酸シャンプー、ダメージケアでアウトバストリートメントをおすすめします。今回のロールプレイングでは、次の2商品を取り上げました。
■ ミルボン オージュアシリーズ シャンプー
炭酸で毛穴の奥の汚れや皮脂を浮かせて落とす効果と、カキタンニン等によって頭皮の匂いの消臭効果があります。
■資生堂 サブリミック
髪を疎水化して湿気の影響をうけないようにし、紫外線等の外的ダメージ要因を表面シールド効果によりシャットアウトする商品です。
花渕さんのお悩み引き出しロールプレイング
花渕さん(以下、花渕):最近、湿気で髪や頭皮にお悩みのお客さまからたくさん相談をうけており、その中でも「湿気により髪がぺったりしてボリュームが出ない」というお悩みが一番多いのですが、〇〇さまはいかがですか?
お客さま:確かにこの時期はボリュームダウンがすごく気になります。毎年いろいろ使ってみてはいるのですが、逆にベタつきが気になったりすることもあって…。
花渕さん:確かに、つけすぎてもベタつきにつながりますよね。同じように悩んでいらっしゃる方も、今までは髪のケアだけで、どうにか改善しようとしていたお客さまが多かったです。しかし、実はこの時期、頭皮からの皮脂の分泌が増えることで根元がベタつき、それが全体のボリュームダウンの原因になっているんですよ。
お客さま:頭皮のケアは考えたことがなかったです。最近、頭皮の匂いやベタつきも気になってはいたけど、髪とは別で考えていました。
花渕さん:髪と頭皮にそれぞれ悩みはありつつ、別で考えるお客さまはとても多いんです。みなさん「確かに!」とおっしゃいますね。
お客さま:でも、頭皮とヘアを改善させるにはどうしたらいいんですか?
花渕さん:同じようなお悩みをお持ちのお客さまにご提案して、改善につながった方法があるのですが、最初にベースとなるシャンプーのやり方と頭皮ケアのワンポイントアドバイスさせていただきます!
お客さま:シャンプーですか?
花渕さん:そうです! シャンプーのやり方でとても変わります。
まずシャワーのお湯の温度は、人肌より少し熱いくらいの38度〰39度くらいで流してもらえるとよいと思いますよ。43℃くらいの熱いお湯で流すと、必要以上に皮脂が分泌され、逆にベタつきにつながります。
お客さま:そうなんですね。熱いほうが汚れも落ちやすいかと思っていました!
花渕さん:はい。多くのお客さまがそう思われているので、お話しすると驚く方が多いです。
次にシャンプーのやり方ですが、擦って汚れを落とし、すぐ流すのが通常のシャンプーです。お時間があるときは、こすり洗いの後にもみ洗いをし、3分ほど泡がついた状態で置いてみてください。そうすると頭皮の毛穴が開き内側からの汚れも浮いて、落とせるようになりますよ。
お客さま:そうなんですか? すぐに試せそうなので、やってみます。
花渕さん:ぜひお試しください。次にヘアケアのワンポイントアドバイスをさせていただきますね。
今すぐ実践できるヘアケアは、できるだけ早くドライヤーで乾かすこと。髪表面のキューティクルをしっかり閉じるようにすることが大切です。
自然乾燥させるとキューティクルが乱れたまま乾くので、髪の水分バランスが崩れます。そのため湿気の影響を受けやすくなり、うねりや、スタイリングの乱れにつながります。
お忙しい朝や夜のお時間だとは思いますが、なるべく早めにドライヤーを使い、根元から軽く引っ張りながらドライしてください。今自宅でお使いのアイテムでもすぐ実践できますよ。
一応、先程のシャンプーのやり方をより効果高める商品と、乾かす前に使っているアウトバスと併用すると効果でやすい商品ご紹介しますね。これを使うと、より効果を実感しやすくなると思いますので!
お客さま:ぜひ教えてください。
花渕さん:もちろんでございます。まずシャンプーですが、普段お使いのシャンプーはそのまま使ってください。今日ご紹介させていただくのは、集中ケアで週に2回使う炭酸シャンプーです。こちらを先程のシャンプーのやり方で使うと、老廃物や皮脂汚れ、普段のシャンプーで落とせないイオンなどを落とせるのでおすすめです!
お客さま:いくらくらいなんですか?
花渕さん:320mlで4,000円です。週2回使っても、4カ月は持ちますので、コスパもいいと思います。
あと一応、ヘアケアのアウトバスもご紹介しますね。資生堂の商品で、ミストタイプのワンダーシールドという商品で、いつものオイルトリートメントに併用いただけます。オイルが質感、手触りを整えるのに対し、こちらは髪の表面を保護し、外的ダメージ要因をシャットアウトしますよ!
お客さま:外的ダメージ要因のシャットアウトって?
花渕さん:こちらを使用すると髪を疎水化し湿気の影響をうけなくするのと同時に、紫外線からも守ってくれます。もっと言うとタバコや食事の匂い、埃なんかもつきづらくなる表面効果がありますよ。しかも1回使うだけで、3日間効果が持続します。
お客さま:すごいですね。ちなみに、こちらはおいくら?
花渕さん:こちらは125mlで3,800円です。3日に一回の頻度で、1回15プッシュなので、約2カ月半使えます。こちらもシャンプーと合わせておすすめですよ。
お悩み引き出し&店販につなげる会話のポイント
ポイントはやみくもに悩みを聞こうとしないこと。髪や頭皮の状態からお悩みを推測し、お客さまがご自身の言葉で話しやすいように、導いてあげるんです。
会話で大切なのは、常にお客さまへの共感です。「そうですよね」「おっしゃる通りですね」「私もそう思います」のような言葉をかけると、共感していることが伝わりやすいと思います。決して否定はせず、共感した上で提案やアドバイスにつなげていくことで、私たち美容師がお客さまから信頼してもらいやすい状態になります。
また、お客さまの表情を常に見ながら説明や会話をしましょう。そうすることで、説明の内容や会話に興味があるのかをすぐに感じとれるので、その上で会話の内容を変えたり、臨機応変に対応します。テンポや抑揚、声の大きさにも重要です。聞いているお客さまが聞きやすくなるように意識します。
店販商品をおすすめする一番の目的は、美容師からのアドバイスや提案を聞いていただき、お客さまのヘアを綺麗に保ってもらえるようにすること。そのためにお客さまからの信頼を得ることが必要不可欠です。お客さまとの信頼関係を構築するために、まずはお手持ちのアイテムですぐにできることからアドバイスをします。その上で、より効果を高めるために「使う商品で変わる」という説明をしていきます。そうすると、押し売り感がなく、自然に店販商品をおすすめできますよ。
そして最後に大きなポイント! 次回ご来店の際に必ず前回お買い求めいただいた商品の感想を聞いてください。そこからワンポイントアドバイスや、より広い切り口からの提案ができますよ。売って終わりにならないようにすることが、継続してサロンケア商品を使ってもらえるようになる一番大切なポイントでもあります。ここを怠ると、お客様からの信頼を逆に失いかねないので注意してくださいね。
店販が苦手な美容師さんへのアドバイス
一番大切なのは、店販商品を売ることではなく、お客さまを知ることです。
普段ドライヤーは使うのか? シャンプーやトリートメントは何を使っているのか? アウトバストリートメントはつけるのか?など、美容師が知るべき情報はたくさんあります。会話の中で少しずつ引き出し、情報をカルテに残しましょう。
そして、情報を引き出した上で一番にやるべきなのは、すぐになにかの商品の説明や、おすすめをすることではありません。今自宅にお持ちのアイテムですぐにできることをアドバイスしてあげることです。
店販商品を購入してもらうところまでがゴールだとしても、その途中にどのようなプロセスを挟むかですべてが変わります。すぐに実践できるアドバイスから入り、その上でより効果を高めるために「使う商品で変わる」との説明へ移すことで、押し売り感なく自然に商品のおすすめに持っていけますよ。
店販に力を入れたいなら、スタッフみんなで練習しよう
お店全体でスタッフの店販に力を入れたい場合は、地味な取り組みですが、スタッフ同士のロールプレイングに本気で取り組んでみることをおすすめします。台本を作り、お客さま役と美容師役でペアを組んで会話を進めて練習していくと、全員足並みを揃えてスキルアップしていきますよ。
スタッフ同士だと恥ずかしさなどもあり、最初はなかなか難しいかもしれません。ですが、最終的にプロとして自信を持って、お客さまをリードするためには、スタッフ同士でもふざけることなく、真面目にアドバイスができるようになると、サロンワーク中にスタイリストとお客さまの会話が大きく変わります。やり方はたくさんあると思いますが、ロールプレイング形式はかなりおすすめです!
プロフィール
MINX銀座五丁目店
代表/花渕 慶太(はなぶち けいた)
1985年生まれ。宮城県仙台市出身。2006年MINX入社。原宿店の店長を務め、銀座五丁目店OPENと同時に異動、代表に就任。カット技術に定評があり、国内外のセミナーで講師を務める。また、MINX内で雑誌撮影オファーNO.1、ヘアショーでも活躍中。サロンワークでは世代問わず、たくさんのお客さまから指名を受け、技術売上、店販売上ともにMINX内でもトップクラスを誇る。
Instagram:@keita_hanabuchi
<まとめ>
ご登場いただいた美容師さんの多くは、押し付けるのではなく聞き出すことや、お客さまとの信頼関係を築くために共感を大切にされているよう。店販商品やヘアケアに対する知識を常にアップデートして、お客さまにわかりやすい言葉で話す練習をするなど、今すぐ実践できそうなアドバイスもたくさんいただきました!
カウンセリングや店販に苦手意識のある方は、みなさんのロールプレイングを参考に、他のスタイリストさんやアシスタントさんたちと会話の練習をしてみるといいかもしれません!
(取材・文/リクエストQJナビDAILY編集部)