店販のコツは、お客さまご自身に髪の状態を把握してもらうこと−Violet 浅沼 雄元さん

−6月にお客さまから受けることが多い、トラブルや悩みは？

・髪が広がる

・髪がペタっとする

・髪がうねる

・朝セットした巻きが取れる

・髪がパサつく

―そのようなお悩みに対し、どの商品をおすすめしますか？

髪表面の油分がなくなることによってパサつきやうねりが起こっている場合はアウトバストリートメント。ダメージではなく元の癖毛が湿気で広がってしまっている場合は、シャンプーとインバストリートメントで髪の状態を整えた上で、自然に動きが出て癖を活かせるスタイリングオイルをおすすめします。

今回のロールプレイングでは、ダメージによるパサつきのパターンを想定し、CMCが入っているアウトバストリートメントを紹介しています。

　■ミルボン　クエンチ フルイド

ミルクタイプなので、ダメージによる毛先のパサつきに、よりしっとり感を与えてくれます。毛髪保護成分のヒドロキシエチルセルロースが配合されており、被膜も作ってくれます。

浅沼さんのお悩み引き出しロールプレイング

浅沼さん（以下、浅沼）：今日はよろしくお願いします。髪に関してのお悩みをお聞きしてもよろしいですか？

お客さま：パサついたり、うねったりしてしまうんです。

浅沼：髪の表面にはキューティクルがあり、さらに表面に髪を保護してくれる皮脂膜というのがあります。その皮脂膜が剥がれて、なくなっていたり少なくなっていたりすると湿気などの水分を吸収しやすくなるんですよ。だから髪が膨張したり広がったり、巻きが取れたりしやすいんです。なので、表面に皮脂膜を作ってあげるといいですよ。

お客さま：サロンでトリートメントをしたほうがいいですか？

浅沼：ベストはサロンでのトリートメントとホームケアのどちらもすることです。実はサロンでしっかりトリートメントをやっても、自宅でのケアを怠ると綺麗な髪の持続力がないので、あまり改善されなくなってしまうんです。普段、ご自宅ではどのようなヘアケアをなさっていますか？

お客さま：そこまでこだわってはいないのですが、市販の洗いシャンプーとトリートメントを使っています。

浅沼：でしたら、まずは洗い流さないトリートメントを使ってホームケアを強化するといいと思います。

お客さま：どんなホームケアが私には合いますか？

浅沼：お客さまの髪はダメージが原因でパサつきやうねりが出ているので、髪の内部を補修するCMCの入った洗い流さないトリートメントがいいと思います。オイルで髪の表面にフタをすることを頑張るより、CMCで髪の内部の水分保持をして髪を強化していくことが先決だと思います。例えば、このミルボンの「クエンチ フルイド」は、CMCが入っていてしっかり水分保持をサポートしてくれるだけでなく、ミルクタイプでよりしっとりするのでおすすめですよ。

お悩み引き出し＆店販につなげる会話のポイント

お客さまご自身に、サロンにきていただいたときの髪の状態をしっかりと把握してもらうことを大切にしています。そのためにも、カウンセリングではお客さまとご挨拶をしたあと、まずは「髪に関してのお悩みをお聞きしてもよろしいですか？」と率直にお伺いします。お悩みをご自身の言葉で伝えていただくことで、美容師からオブラートに包んだ婉曲な言い方で確認したり伝えたりしなくてよくなりますし、よりご自身の髪の状態を認識していただきやすくなります。

その上で嘘偽りなく、知識と情報や技術を伝えることで、お客さまに店販商品が必要な理由をわかりやすく伝えることがポイントです。

また、カウンセリング時はお客さまのお話を、お医者さんのようにしっかりとメモを取ることをおすすめします。例えば僕は「癖が気になる」と言われたら「癖が気になる」、「前髪がうまくいかない」と言われたら「前髪がうまくいかない」とそのままメモしています。聞いて理解するだけよりも文字にしたほうが、何が悩みのポイントなのかがシンプルになるんです。また、お客さまへも「しっかり聞いている」という印象につながりますよ。

「どんな髪型にしたいですか？」というスタイルのご要望は悩みを聞いた後に伺います。お客さまのご希望のスタイルが髪質やお悩みの内容によって難しいこともありますが、先にお悩みを伺うことでその場合もお客さまに納得していただきやすく、またカウンセリングの無駄も減らせます。

また、髪の状態やお客さまのライフスタイルによっては、おすすめするケアを変えていきます。例えば、今回はご自宅でのケアを強化するご提案をしましたが、普段ホームケアをあまりされない方やホームケアに関心が薄い方の場合は、サロンでのトリートメントをおすすめするなどしています。

店販が苦手な美容師さんへのアドバイス

まずはサロンで取り扱っている商品について、しっかりと勉強しましょう！　さらに重要なのは、自分で使ってみること。そうすることで、お客さまのお悩みに応えられる幅が広がりますし、体験談も話せるので信頼感も高まります。

またサロンワーク中は、お客さまの話をしっかり聞くことを意識してください。どんなに知識があっても、お客さまが何に悩んでいるのかなどちゃんと把握しないと何も話せません。スタートは、お客さまの声に耳を傾けることですよ。

プロフィール
Violet
トップスタイリスト／浅沼雄元（あさぬま のりまさ）

都内有名サロン店長を経て、現在Violet表参道店長。数多くのタレント・モデルを担当しながら、常にリターン率90％超えと、お客さまからの支持も厚く、大人きれいを造り出す“浅沼カット“に定評あり。店長として何事にも熱心に取り組む姿勢に感銘を受けるスタッフが多数続出、美容師としての楽しさや極意を伝え続けている。

Instagram：@asanu_violet

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