ペンとハサミで理想を描く!? 今注目のスーパーアシスタント
カウンセリング時のツールとして使っていきたい
−スタイリストとしてデビューをしたら、今のデッサンをどう活かしていきたいですか?
お客さまのなかには自分のなりたいスタイルをうまく言葉で表現できない方もいらっしゃると思いますし、イメージが曖昧なまま施術を進めてしまっては、お客さまの理想とかけ離れたスタイルになりかねませんよね。だから仕上がりをよりお客さまの理想に近づけるためにも、お客さまの持つイメージと僕の持つイメージを噛み合わせるツールとして、カウンセリング時に活かしていければと思っています。そのときまでには、今よりもさらさらっと描けるようになっていたいですね。また、モデルさんを使った撮影のときでも、モデルハントで得た印象をもとに、クールなモデルさんであればクールな印象のヘアスタイル、キュートなモデルさんであればキュートなヘアスタイルを意識して描くなど、その人の雰囲気に合わせたデッサンを描いていきたいと思っています。
トレーニングが生む具体的な喜びを意識する
−日々の業務のなかで課題が浮かび上がったときには、それをどう乗り越えていますか?
ウィッグを使ったトレーニングや、モデルさんを使った実践的なトレーニングでは、単なる「作業」にならないように、今していることや練習をしていることが具体的に誰のためになったり、どういった喜びにつながるのかを意識するようにしています。やっぱり美容師という職業を通じて、人を綺麗にして、喜んでもらいたいんですよね。ほかにも、わからないことがあったら、周りの先輩にすぐ確認します。積極的に学ぶことでモチベーションを下げないようにしていますね。
−先輩方とは気さくに話し合える関係ですか?
そうですね。「自分もそうやって先輩から教えてもらってきた」と先輩が話していたのを聞いたことがあるので、そういった関係性も受け継がれていく伝統なのかなと思います。僕も後輩ができたときには、先輩と同じように、すぐ快く教えてあげられるスタンスでいたいと思っています。
−忙しい日々のなか、ストレスが溜まったときにはどうやって解消していますか?
僕の場合は、自分の好きな音楽をひたすら聴いたり、お酒も好きなので飲みにいったり。周りのことを考えずに済む、自分だけの時間を作るように心がけています。
楽しみながら五感を磨くのも修行の一つ
−同じ美容業界で働くアシスタントの方へメッセージをお願いします。
そうですね…僕が思うには、美容師になるまでの修行って大変なイメージがありますが、辛いことばかりではないと思うんですね。例えば、おいしいご飯を食べたり、美しい風景を見たり、名作映画を見たり、好きな音楽を聴いたり、そうした自分自身が楽しめることで五感を磨いて、感性を豊かにするということも美容師の修行の一つだと思うんです。だからアシスタントとして、そうした意識を持っていれば、豊かな感情が芽生えるのではないかなと思います。
−実際にご自身が感性を豊かに保つためにされていることはありますか?
夕陽が沈む綺麗な空とか、その辺りに咲いている花もそうですが、自分が「いいな」と思ったものに関しては、写真を撮るようにしています。何もしなでおくとそのとき感じた気持ちって一瞬で忘れてしまうのですが、撮影しておくこと後で見返したときに「こういう感情で撮った写真だったな」とか、何かに感動した感情が一瞬でもあったということを思い出せますよね。こうした習慣が、仕事のときの細部への目配りにつながればいいなと思っています。
デッサンを通して、言葉だけでは補えない細部のイメージまで、お客さまと共有しようと励むKO-WAさん。そんなとことん親身になる姿勢が、業界内で注目を集める理由なのかもしれません。
- プロフィール
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atelier [ jill ] HAIR DESIGN
KO-WA(こうわ)
沖縄県那覇市出身。大育理容美容専門学校卒業後、那覇市内のサロンに入社し、サロンワークの基礎を学ぶ。2012年にatelier [es] HAIRDESIGN に入社。その後2013年に、atelier [ jill ] HAIR DESIGNのオープニングスタッフとして参加。人との関わりの中で自分の進むべき道を見いだす。サロンではIT部門を担当。得意なデッサンが評価され、月刊誌『ocappa』にて取材を受け、全国誌デビューを果たす。バーボンを片手にお一人様の時間を楽しむ一面もある。
(取材/文・阿部夕華)