もはやNO BORDER! Sourire野口幸資さんが語る、地方だからこそできるトレンド発信

スタイルと場所を「掛け算」することで需要を生み出すことができる!

 

 

僕は現在、ショートスタイルを大きく打ち出していていますが、ショートが得意な美容師さんというのは、東京では大勢いるかと思います。ここで大きなカギとなるのは、“地方”ということなんです。というのも、福岡の場合、ショートスタイルを売りにしている美容師は、僕を入れて数人しかいないんですよ。たしかに、Instagramの中にはショートスタイルを打ち出している美容師さんは大勢いるから、どうやって差別化するのか疑問に思うかたがいるかもしれません。でも、ショートヘアの中でもショートボブを、ショートボブの中でも20~30代の女性に受けるショートボブ…という風にスタイルを細分化した上で、それを福岡の女性たちに対して打ち出す、というように、地域についても細分化して明確にしていくことが集客に繋がるんです。いわば、スタイルと場所を掛け算していく感じです。

 

そうして細分化していった方が、お客さんにとっても「私のやりたかったスタイル、これかも」と気づけるし、選びやすいですよね。

 

僕の働いているヘアサロンは博多駅から2駅先という少し不便な場所にあります。お客さまにも「なんでこの場所なんですか!?」と驚かれますが、県内県外問わずお客さまは足を運んでくれますし、これこそが僕のやりたかったことなんです。

 

今、福岡だったらメンズカットや縮毛矯正もまだまだブルーオーシャン。「空き」がありますよ! ガーリーなスタイルもまだまだ訴えられるところはあると思います。これは福岡に限った話ではなく、他の地方も同じです。着目のしかた次第で、無限にやりようがあります。

 

そういうのを細かく自分で分析することが一番大切です。その上で、SNSのタグはコピー&ペーストで対応できるのでそこはあまり難しいことじゃないですよね。

 

「同じところで争わない」信条で勝ち取ったHAIR OF THE YEARグランプリ

 

 

ありがたいことに、昨年、女性誌の『Ray』(主婦の友社)が主催する「HAIR OF THE YEAR」でグランプリをいただきました。

 

実は、今までヘアコンテストにはあまり興味がなかったのですが、マネージャーに「野口くん、出てみない?」と言われたのがきっかけで出てみることにしました。僕が得意とするかわいい表現を活かせそうということもあり、これだったら楽しそうだなって思ったんです。

 

加えて、プロの審査員ではなく、一般の人が選ぶというのもよかったんだと思います。僕の場合、お客さまから見てかわいいかどうかというのを常に大事にしていますから。

 

コンテストに臨む前は、前回大会の概要や結果を全部調べました。黒髪と巻き髪が多かったので、みんながやっていることと同じことをやっても目立たないと思い、あえてのハイトーンで透明感を出し、福岡出身の松田聖子さんを意識しつつ、今に落とし込んだようなスタイルにしました。

 

また、前回の入賞作品は白い服のモデルさんがすごく多かったので黒い服を選びました。みんながやりそうなことはできるだけ避けて、同じところで争わないようにしようというのは、普段の仕事のしかたと一緒かもしれません。

 

地方からのトレンド発信の成功例というのは、まだまだ少ないと思われがちですが、地方だからこそやりやすくなっているというのが僕の持論です。先程お話した、スタイルと場所の掛け算に気づいた者勝ちですよ! 雑誌に載っている美容師だけがトレンドを発信できるのではなく、こんなにいろいろなところにチャンスがある時代に美容師ができて本当によかったです。

 

Instagramだけでなく、これから新しいSNSが出てくることになると思います。どんな時代でも、それが自分のトレンドを発信できるツールだと考えられると、美容師という仕事がもっと楽しくなると思います。

 

 

プロフィール
Sourire クリエイター
野口幸資(のぐち こうすけ)さん

長崎県出身。福岡美容専門学校卒業後、天神のヘアサロンでアシスタントを経て、東京の有名サロンでスタイリストを勤める。その後、福岡に戻りSourire柚須店でナチュラルなショートヘアを打ち出し、人気を集める。2018年の「Ray ヘアオブ・ザ・イヤー」では全国大会決勝でグランプリを受賞する。
instagram:@short_noguchi

 

(取材・文/須川奈津江  撮影/高松竜二)

 

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