予約受付をLINE、インスタに移行している美容師必読! SNSリテラシーを高めよう
美容師のSNS「あるある」を専門家に聞きました!
次に静岡大学准教授の塩田真吾さんに美容師のSNSでよく見かけるあるあるに対してお答えいただきました。
- プロフィール
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静岡大学教育学部 学校教育講座 准教授 塩田 真吾
早稲田大学大学院修了, 博士(学術),千葉大学特任研究員,静岡大学教育学部助教,講師を経て現職。
「社会とつながる授業」をテーマに,情報モラル教育,キャリア教育,環境・エネルギー教育,創造性教育,企業と連携した教育など現代的な課題の「授業デザイン」について工学的に研究している。
・なぜ、個人LINEではなく、LINE@を使用するべきか
個人アカウントを推奨しない理由が大きく3つあります。
1、誤送信が起こりうる
そもそも、LINEはTwitterのように複数アカウントが持てません。お客さまと自分のプライベートが並列になってしまうと、私的な文章をお客さまに誤送信してしまう可能性があり、お客さまとの関係を壊してしまうきっかけになってしまう恐れがあること。
2、個人情報流出を防ぐ
LINEは気軽に使えるツールなので、意識が希薄になりがちですが、LINEのアカウントも個人情報です。先に述べた誤送信と同じように、間違えてお客さまの連絡先を友達に送ってしまったらそれは個人情報流出となります。ミスを防ぐためにもLINE@に移行しましょう。LINE@では1対1のトークで、他の人の連絡先を送信できない仕組みになっています。
左が個人アカウント用のメニュー、右がLINE@のメニュー画面。できることが限られ、中でも個人の連絡先(LINE ID)を送信できないようになっている。
3、お客さまとの適切な距離を保つため
美容師という職業は技術をお客さまに提供することが大前提ですが、自分自身を売りにする人気商売でもあると思います。そのため、お客さまとの関係を密接にしてしまうと、トラブルの元にもなりかねます。
LINEの個人アカウントはお客さまとの関係を曖昧にしてしまい、親しい友達、またそれ以上の感覚に陥ってしまうこともなきにしもあらずです。
そこで、ビジネス専用ツールであるLINE@であれば、お客さまへアカウントをお知らせするときも、ビジネスツールとして使用していることをお伝えできます。さらにタイムライン上に返信できる時間帯や、内容によっては返信しないこともあるなど、免責を記しておけますので、必要以上にプライベートに介入してしまう可能性を未然に防げるようになります。
以上のことから個人LINEアカウントの開示は控えましょう。
また、18歳以下は個人アカウントのID検索ができません。そのため、18歳以下のお客さまをふるいにかけてしまうことになるので、その点でもLINE@がオススメです。
・アカウントの取り扱い編
-LINE@を開設した後に注意すべきことは
気をつけるべきは過信による見逃し&誤送信
注意すべきことは、メッセージの見逃しと誤送信です。
たくさんのメッセージが来るようになると、メッセージを既読スルーしてしまい、返信をし忘れてしまったり、予約時間を打ち間違えて送ってしまい、お客さまに迷惑をかけてしまうケースがあります。
こういったケースを起こしやすいのはSNSを使いこなし、新しいサービスに抵抗がない人。SNSに対する自信が過信を生んでしまい、返信を後回しにしてうっかり返信し忘れてしまったり、送る前の確認を怠ってしまう可能性があります。
逆に、SNSが苦手な人は、苦手という自覚があるので、SNSに対して慎重に向き合うので、ミスが起き難いです。
自分がどういったタイプか、把握して返信には十分に気をつけましょう。
・予約受付編
-お客さまとLINE@でやり取りをする上で気をつけるべきことは?
初回は丁寧に。タイムラインで自分のノリを開示してみて。
人それぞれのノリがあると思うので、一概には言えませんが、はじめてのLINE@は丁寧に返事をするに越したことはありません。タメ口ではなく、社会人として適切な言葉で対応しましょう。
また自分がどんなキャラクターかを開示するためにLINE@のタイムラインを活用するのも手だと思います。そこからある程度のノリは推測できるようになるので、お休みの告知やメニューのプライス表示、ブログの告知などでタイムラインを活用することをオススメします。
-インスタグラムやTwitterのコメント欄やリプライで予約依頼を受けた場合、どうすればいいですか?
必ずクローズドな場所に移行して。予約受付場所を一本化しましょう。
例えばLINE@に誘導したり、クーポンサイトから予約をしてもらったり…。
オープンな場所で予約を受けてしまった場合、お客さまのその日の行動を第三者が推測しやすくなり、待ち伏せやつきまといなどの危険にさらしてしまう可能性もありますので、お客さまの防犯上避けるべきです。
また、予約を受け付ける窓口は複数あってもいいと思いますが、予約を決定する場所は一つに絞りましょう。複数の場所で予約を受けると、見落としやダブルブッキングを引き起こす可能性が非常に高くなります。電話、LINE@、クーポンサイトなど、どれかに一本化すると、管理の効率も高まります。
・コメント編
-インスタやタイムラインなどでいつもコメントをくれるお客さま。無視はしづらいけどコメントを返すほどでもない場合はどのような対応がべストですか?
自分の中に第三者の目線を取り入れて。
お客さまはよかれと思ってコミュニケーションを図っていますが、毎度返信をするのは確かに大変。返信をすることにプレッシャーに感じてしまい、お客さまとの関係が辛くなってしまうケースが多分にあります。
そこで、美容師さんには自分の中に第三者の目線を加えていただくといいと思います。
第三者の目線が分かり難い場合、オススメするのは自分が芸能人だったらと想像しながら、SNSを使用してみてください。
多くの芸能人はSNS上でのトラブルを避けるため、明確にルールを決めて写真を投稿し、もらった返信も返しません。それを見習って。
「もし自分が芸能人だったら、この写真はUPするか」
「もし自分が芸能人だったら、ファン(お客さま)からのコメントすべてに返信をしない」
何かをするときにこの行動指針を加えるだけで、一呼吸考える時間ができます。また、誰に対しても対応がフラットになりますので、自分の気持ちも楽になります。
コメントへの返事やフォローは実際に来店してくださったときで問題ないと思います。問題なのは人によって返信頻度が違うということ。また過剰なサービス、コメント返しは自分の首を絞めるだけです。
-コメント欄に悪意のあるコメントがきた。削除・ブロックはしていいの?
もちろん大丈夫。ただしクレームは残しておいて。
「バカ」、「キモい」など人を貶めるコメントは悪意しかありませんので、削除・ブロックをしましょう。
ただしクレームとなると話は別です。クレームには誠意ある対応をし、あえて残しておきましょう。その誠意を見て予約をしてくれる人が出てくる可能性もあります。
美容師さんは人気商売であるが故にその他の業種とは違うSNSの使い方をされていると思います。
トラブルを怖がって何もしないのではよくないですので、大きなトラブルを起こさない。ということを念頭に置きながらSNSと付き合ってみてください。
手軽で便利なSNS。面貸しサロンやフリーランス美容師が増えている今、自分の宣伝場所としてこれほど便利なツールはありません。ですが、手軽さゆえに予測できないトラブルが起こることも事実。上手に使えば、お客さまに不快な思いをさせないという他に、自分を守ることにもつながります。
美容師さん同士でも利用状況のすり合わせをしてみてはいかがでしょうか?
(取材・文/高橋 優璃)
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