クリエイションの源泉は、尊敬するデザイナーたちの言葉。THE SLICK・向田夏希さん―トレンドメーカーの「ブレイン解剖」

 

トレンドの一歩先を行くクリエイティブを生み出す美容師は、どんなヒトやモノにインスパイアされるのか。クリエイティブな感性を持つ人たちに直撃取材し、紐解いていくのがこの企画「ブレイン解剖」です。

今回は、27歳にしてTHE SLICK(スリック)の店長を務め、ハイクオリティなブリーチカラーでも注目を集める向田夏希(むかいだなつき)さんが登場。取材中、「映画も雑誌も見ない」ときっぱり宣言された向田さん。そんな彼女が最近、スタイルを作るときに参考にしているのはハイブランドのキャッチコピーや、デザイナーの言葉だそうです。

言葉からスタイルを作るというのは、一体どういうことなのか? 詳しく伺いました。

 


 

カラーワークでできないことはなし! ブリーチの放置時間にカラーのアイデアを考える

 

 

スタイルの作り方は、サロンワークとコンテスト、撮影ではやっぱり全く違いますね。コンテストや撮影では、より自分らしさを表現した強めのものを出すことが多いですが、サロンワークでは強さは抑えめに。ただその中でも変化は作って、お客さまが普段の生活に戻ったときに周りから反響があるくらいのテイストに仕上げるように心がけています。

最近は、カラーワークで出来ないことはなくなったなと実感しています。ただ、インナー、ルーツカラー、バレイヤージュなど、カラーのスタイル自体はある意味もう飽和状態というか…。目新しい形を作るのは難しい流れになってきていますが、お客さまやモデルさんの個性をカラーに加えてスタイルを作っていくと、既存の形の中でも新しさが表現できるように思います。

 

 

デザインカラーでお任せしてくださるお客さまも多いですが、そういったお客さまにスタイルを提案するときは、日ごろ集めている自分の好きなもののイメージからアイデアをキャッチすることもあります。ブリーチからカラーまでの空き時間で、「このお客さまに似合うのは…」と考えていますね。

 

デザインカラーやハイトーンのオーダーで、なおかつお任せで来てくださる方が多いのは、ハイトーンを中心としたブランディングが自他ともに浸透したからだと思います。でも、デビュー前には、この方向性でいいのかと悩んでいたこともあったんですよ。

転機になったのは、今、樗木(佑太)とともに代表を務めている豊田(章一郎)に相談したタイミング。当時の私はInstagramのフォロワー数も伸び悩んでいたのですが、話してみたら、その時すでにSNSでも大きな影響力を持っていた豊田が「Instagramの雰囲気、かなりいいからこのまま行きなよ!」と言ってくれて。ほんの些細な一言ですが、その言葉に背中を押されたんですよね。

 

 

正直、当時はそこまで深く捉えていなかったのですが、こうしてハイトーンカラーで確かなブランディングを確立できたことを考えると、私に影響を与えてくれた一言だったのかなと思います。

この時だけでなく、やっぱり樗木を始めとしたTHE SLICKのスタイリスト達からはたくさん影響を受けている気がしますね。「こんなやり方があるんだ」とか「自分の強みは何なのか」と考えて、自分のスタイルを作ってきたように思います。

 

>映画でも音楽でも雑誌でもなく、“言葉”からインスピレーションを得る

 

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