カルチャーの原体験が今作るスタイルに大きな影響を与えた siki ROSE・野中和輝さん―トレンドメーカーの「ブレイン解剖」

地元で過ごした時間が、今の自分を作ってくれた

 

 

僕は岡山出身で、高校時代まで岡山で過ごしていました。漫画や映画、音楽といったカルチャーが好きになった原体験は、その頃にあるんです。田舎だったので、自転車で40〜50分かけて古本屋に行って、漫画を立ち読みしたり、DVDを選ぶのがすごく楽しくて、平気で3〜4時間くらい過ごせたんですよね。先日久しぶりに古本屋に行ったらその感覚がよみがえってきて、なんだかすごく嬉しかったです。

岡山は古着屋さんも少なかったので、古本屋と同じように何十分も自転車を漕いで、数少ない服屋に通っていました。実際に足を運んで、緊張しながらお店に入って…自分の目で見た中から「これがいいな」と思えるものを見つけ出すあの頃の体験は、今の自分の一部分を形成した要素だと考えています。

 

そのためか、様々なカルチャーが好きですが、そこから「あの漫画に出てきた登場人物みたいなヘアスタイルを作ろう」と考えたり、雑誌などを見て「これがかっこいいから真似してみよう」と思うことはようなことはあまりないんです。

やっぱり僕は、自分で足を運んで直に見た中で「これがいいな」というのを見つけるのが好きなんだと思います。

 

 

直接足を運ぶことが好きなのは映画も同じです。家で映画を見るのも良いですが、映画館に行って非日常を味わう方が好きですね。新宿エリアの映画館に行くことが多いですが、阿佐ヶ谷のMorcという小さいシアターまで足を伸ばすこともありますね。

風変わりなメガネ店の接客に衝撃! でも、美容師のカウンセリングと共通点も

 

 

カルチャー以外では、他業種の方から影響を受けることが多いです。最近では代官山のメガネ屋さんで衝撃的な体験をしました。

そのお店は男性のオーナーが一人でやっているお店なのですが、床一面に水が張られていて店内は常に水の音がしますし、お客さんが来ると一旦店を閉めて他の人が入って来られないようにして接客をするんですよ。そこで行われるのは、普段の買い物とはまったく異なる体験なんです。ぱっと目についたものを選ぶような一瞬の判断じゃなくて、無数にある選択肢の中からその時の気分やファッションを見て一つずつ提案してもらえるんです。例えば僕は、「今日のファッションから見るに、きっとロックな気分なんだね」と言って提案してもらったのですが、それがすごく新鮮で…。「そうか、自分はロックな気分だったんだ!」と、自分でも気づかなかった自分を言い当てられたような感覚でした。そうして、迷いながら一つのものに決めていく時間がすっごく楽しかったんですよね。

 

 

それで気づいたのですが、そのやり方って美容師のカウンセリングにもすごく近いな、と。膨大な選択肢の中から少しずつ絞っていって、お客さまの気分にふさわしくて似合うものを引き出すのは美容師でも同じことなので、自分も、その引き出している時間もお客さまに楽しんでいただけるようになりたいと思いました。

改めて考えても、やっぱりサロンワークをしている時間が一番楽しいですね。今後もこのsiki ROSEというサロンでヘアとお客さまに向き合っていくのが自分のできることだと考えています。

 

プロフィール
siki ROSE/トップスタイリスト
野中和輝

岡山県出身。グラムール美容専門学校卒業後、新卒でsikiに入社。2023年4月にスタイリストデビューを果たしたのち、瞬く間にトップスタイリストへの道を駆け上がる。独自な世界観のあるラフなスタイルは、ファッションやカルチャーの感度が高い男女の支持を集めている。現在はROSEの副店長も務める。

Instagram:@nonakakazuki_

 

(文/須川奈津江 撮影/Yui Ogano)

 

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