ろう者のお客さまとの手話の投稿に8.4万♡ 聴覚障害者が通いやすい美容室を目指すANHUTTE加納さんの挑戦
障害者との壁をなくす 手話は英語と変わらないコミュニケーション手段の一つ
まだまだ手話は勉強中なので、読み取れないことや表現できないこと、間違えてしまうことは多々あります。そういったときは、聴覚障害者のお客さまに聞くのが一番勉強になりますね。「これは、どうやって手話で表現するの?」と聞いたり、Instagramのストーリーでは勉強のために1日1単語手話を発信しているのですが、それが間違っていたりすると「そうじゃなくて、こうやるんだよ」と教えてもらうこともたくさんあります。聴覚障害者の方から「みんな間違えるから大丈夫!」と励まされることもありますよ。
手話を学んでいていちばんに感じたのは、コミュニケーションを取ることの大切さです。障害のある方と接しているときって、自分たちが勝手に壁を作ってしまったり気を遣いすぎてしまうこともあったな、と痛感しました。ある日、聴覚障害者の方に「耳が聞こえないだけで、他にできることはみんなと同じ」と言われたときに、たしかに、と思って壁がなくなったんですよ。
英語圏の人と話すための言葉が英語のように、ただコミュニケーションの手段が手話というだけなんですよね。そして、どんな方法でも、コミュニケーションが取れる共通の手段があれば、お客さまには喜んでもらうことができます。美容師は技術ももちろん大切だけど、それだけじゃないということを聴覚障害者のお客さまとの触れ合いを通じて学びました。
サロンのオーナーでもある旦那様と
とはいえ、先にお話ししたようにカウンセリングや美容室ならではの言葉など、手話の語彙力がまだまだ必要だと感じているので、これからも勉強を続けて語彙を増やしていきたいです。
美容師の仕事とは別ですが、来年は聴覚障害者のオリンピックが東京で初開催されるので、そのボランティアに個人的に参加する予定です。
- プロフィール
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ANHUTTE/スタイリスト
加納 郁子
神奈川県出身。東京マックス美容専門学校卒業。聴覚障害者が通いやすい美容室を目指して手話を学ぶ。Instagramに2024年4月に投稿したろう者の本音のリールが反響を呼び、手話美容師として注目を浴びるようになる。
(文/須川奈津江 撮影/泉山 美代子)