「人気の美容師が自分を覚えていてくれた」接客の原点には、自らの嬉しい体験が

Instagramではアイドルやインフルエンサーの方やモデルさんの写真をメインに上げているので、お客さまからは「一般人でも行っていいんですか？」とよく聞かれるのですが、もちろん、ほとんどのお客さまは一般の方です。

美容師って、SNSがバズって人気が出始めたときには「この人のところに行けばかわいくなれる」「おしゃれなものを知っているはず」と思ってもらえるので集客はうまくいきますが、そこから先、一度来てくれた方が顧客になってくれるかどうかで明暗が決まるものです。

お客さまからすると、自分は美容師が担当している大勢のうちの一人、と思いがちなのですが、僕は接客をする上で、一人ひとりの方ときちんと向き合う姿勢を意識しています。名前は絶対に覚えますし、前にやっていた髪型や前回話した内容も思い出してから施術に入ります。ただ僕は記憶力が良い方ではないので、メモは欠かせないですね。

施術中は必ず一対一で、大勢の中の一人にはならないようにしています。月に300〜400人も担当している美容師が自分のことを覚えていたら、やっぱり嬉しいじゃないですか。

僕自身、SHIMAにお客さんとして通っていたときに同じ体験しているんです。すごく売れっ子の美容師さんが僕と話したすごく細かいことまで覚えていてくれて、とても嬉しかったんですよね。なので、同じようにしていて。

ありがたいことに過去に指名売上一位を取れたのは、こうした接客にも要因があるのかもしれません。

みなさんご存じのとおり、SHIMAにはスタープレイヤーがたくさんいます。よく、「埋もれないようにするにはどうすればいいのか？」と聞かれることがあるのですが、僕は先輩も同期も後輩もライバルと思ったことはないんですよ。

なぜなら、みんなすごく素敵な個性を持っているから。「この集団から抜きん出てやろう！」なんて考えは、このサロンではできないですね（笑）。僕は周りと比較したり競ったりするのではなく、良いもの、おしゃれなものは教えてもらって、積極的に吸収して自分の身にするようにしています。

憧れの芸能人も、必ず誰かが髪を切っている。その「誰か」になるためには？

現在、美容師になってちょうど10年目になりました。これまではサロンワークが多かったですが次の10年はヘアメイクの仕事も増やしていきたいなと考えています。

僕が目指した美容師像というのは、キラキラしていて目立つ存在。今のように芸能人の髪を担当するのも夢の一つでした。芸能人というと雲の上の存在のように思えますが、実際には誰かが髪を切ったりカラーしたりしているんです。僕は、ただ憧れるだけじゃなく、「なんでそれが自分じゃないんだろう？」と、考えるようにしていました。その人の髪を切るには実力が足りないんだったら練習するしかないし、その人に提案できるようなおしゃれさを持っていないのであれば、感性を磨くしかない。若手の美容師さんで、キラキラした世界で仕事がしたいと思っている方がいれば、そんなことから考え始めてみるのがいいと思います。

一方で、キラキラした夢を叶えるならもちろん泥臭い努力も積まなければいけないし、キツいことも多いですよね。僕も、「美容師の才能がない」と嘆いたことは何度もありました。

確かに、あまりにいつまでも努力が実らないとくじけてしまうし、今やっていることは無駄なんじゃないかと思ってしまうこともあると思います。そういうときに、「頑張ったのに才能ないな」と思うのと「頑張った分、少しはできるようになった」と思うのでは全然違うんですよ。悲観的になりそうなときやギャップに悩んでいるときは、小さな成功でも自分を褒めてあげることが、モチベーションが続くコツだと思います。それを繰り返していくうちに、きっと自分のなりたい美容師像に近づいて、夢だった仕事もできるようになるはずです。

プロフィール

SHIMA GINZA／クリエイティブスタイリスト

大西 祐也（おおにし ゆうや）

東京都出身。ハリウッド美容専門学校卒業後、SHIMAに入社。SWEET&GIRLYヘアーのスペシャリストとして、女の子の可愛さを最大限に引き出すカットとツヤ感＆透明感バツグンのカラーで圧倒的な支持を集め、アイドルやタレント、インフルエンサーなどの顧客も多い。

Instagram：@leo__nishi

（文/須川奈津江　photo/松林真幸）

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