あのカリスマも失敗してきた!? 有名美容師に聞く、「美容師人生史上、“最恐”エピソードとその教訓」後編――SHACHU みやちさん・NORA広江さん

失敗は笑い話に変えてリセット、翌日に引きずるな!

 

人は誰でも失敗しますし、僕も入社前の面接に前日飲み会で飲み過ぎて3時間の大遅刻をしたり、他にも話しきれないくらい失敗をしたことがあります。しかも、当時の美容業界は今と違って、めちゃくちゃ怒られる環境でした。指摘されているポイントは適切でも、それ以上の勢いで怒られることなんてしょっちゅう。あまりそれを真正面から受けていても精神を病んでしまいます。

 

もちろん、反省して同じ失敗を繰り返さないようにすることは大切です。でも、反省することと、落ち込んで引きずることは別。美容師は人間同士が関係する仕事で、拘束時間も長い。そこで次の日にまで引きずってしまうと、仕事自体が嫌になってすごく辛くなってしまいます。だから、怒られても飲み込んでリセットすることって、大事だと思うんです。

 

僕の場合は「笑い話に変える」ことがリセットにつながっていたかもしれません。失敗して怒られただけって、惨めじゃないですか。それを笑い話にして飲み会とかで話せば「めちゃくちゃ面白いね」って笑ってもらえるんですよ。関西出身の特有な感覚かもしれないですけど、変にカッコつけて失敗を隠すよりも、ポンコツキャラになって笑いに変えたほうがネタになるし、それがきっかけで新しい情報が出てきたりもします。それに、「失敗しても笑い話にすればいいしな」って、失敗が怖くなくなります。

 

リセットのためとかではなく、ただ面白くしたくて笑い話にしていただけなんですが、結果的にそれが出来事を整理することにもなっていました。人に話すためには、「どうフリがあって、どこにオチがあって」と、話を組み立てるわけです。そうすることで、怒られた内容やポイントが自分の中で整理できていったんですよね。すると「次はもうちょっとこうしたら失敗しないな」なんて改善ポイントに気付くことにもつながっていました。

 

 

面白そうなことには飛びつけ! コンディションを整えて、とにかく行動!

 

美容師の仕事は、失敗したって死ぬわけじゃないですよね。そこで悩んでいることもきっと、それほど大したことじゃないです。答えが出ないなら、行動していくしかないし、行動が思考も変えていきます。だから、まず行動。挫けずにバンバン行動して、どんどん失敗すればいい。

 

僕は面白そうと思ったことには飛びついちゃいます。マーケティング手法とか戦略とかにはあまり興味がなくて、面白そうだからやる。そんな程度ですよ。それに、面白そうなことなら、もし失敗してもいい笑い話のネタにできますしね。

 

悩みのループに入ってしまうと、ずっと悩んで行動できなくなる人が多いですよね。僕は悩んだり落ち込んだりしたことがほとんどありませんが、周囲を見ていると、家と仕事の往復しかしていない人と、体が疲れていない人は悩みますね。

 

普段営業していると「疲れたな」とは思うのですが、カロリー消費でいうと美容師の仕事では大して消費していないんですよ。それよりも、先輩に気を遣ったり、お客さまに気を遣ったりして、頭が疲れているんです。そうすると、心と体のバランスが崩れて、精神的に暗くなっていって、わけのわからない悩みに取り込まれてしまいます。だからまず運動をして、心と体の疲労バランスを均衡にするのがいいんじゃないですかね。

 

あとは、行動を変えること。毎日家と職場の往復なら、帰りにご飯を食べに行くのでもいいし、帰りにジムに行くのでもいいし、ランニングして帰るのでもいい。普段と行動を変えると気分も変わるし、新しい思考に切り替わります。

 

そして、飲みにいってワイワイすること! 飲みに行くといっても、お酒を飲めってわけじゃなくて、いろんな人に会いに行って話しましょうってことです。何か失敗しても面白く話していけば、過去の失敗が未来の成功につながっていくので、あまり変に小さくまとまらずに、ガンガン怒られてもそれを笑い話にしちゃえばいいと思います。その場は、お酒があるとよりみんなが盛り上がるので、より楽しいしよりいいですよね。

 

 

プロフィール
NORA
代表/広江 一也(ひろえかずや)

1974年生まれ。奈良県出身。高校卒業後、大手建設会社の基礎工事部門で勤務。関西美容理容専門学校(現グラムール美容専門学校)を経て都内有名店に入社し、10年勤務。店長などの要職を経験後、独立して表参道に「NORA」を設立。2013年に「NORA Journey」をオープンさせ、2014年には青山で「NORA」の拡張移転を果たす。2017年にはフィリピンへの出店し、2018年は大阪に「NORA MARCHE」をスタートさせた。

 

 

(取材・文/Q JナビDAILY編集部)

 

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