2019年からわずか4年で26店舗展開! 異業種出身のシェアリング・ビューティが手がけるサロン事業が絶好調な理由とは?
「現場と経営の分離」が美容業界の課題
坂本:ちなみに、私はサイバーエージェントを経て子会社の株式会社CAテクノロジー(現在は統合)で取締役をしていました。サロン事業代表の西はドコモグループとリクルートで店舗事業の責任者の経験があります。
「美容師出身者でなければ、美容室経営は難しい」というのは間違いで、美容業界全体として「現場と経営の分離」を進めたほうがよいと考えています。
西:美容室の場合、売上が多い美容師さんがサロン経営者になりがちですが、美容師に求められる能力と、サロン経営に求められる能力は同じではありません。それに、サロンワークをバリバリこなしながら、経営も頑張ろうと思っても限界があるはずです。そのため、なかなか経営の効率化に取り組めなかったサロンも多いと思います。
当社の場合は、美容師さんが最も価値を発揮するサロンワークや撮影など、美容の本分に集中してもらうために、業務の自動化、デジタル化に注力してきました。たとえば毎日の売り上げの集計を手作業でしていたら大変ですよね。当社の場合は、AIを活用して自動で集計できるようにしています。締め作業まですべてマニュアル化してあるので、担当が変わってもすぐにこなせます。
シフトの調整もアナログでやると手間がかかる作業だと思いますが、休みたい日を入力するだけで自動でシフト表が完成する仕組みをつくりました。教育カリキュラムもデジタル化しています。技術指導に関する動画は全て動画にしてYouTubeにまとめているので、いつでもどこでも何回でも見て学ぶことができるんです。
店舗ビジネスは「人」が全て
編集部:美容師が本業に集中できる環境をつくっているのですね。とても働きやすそうです。
坂本:当社には美容師さんが数十名くらいいるのですが直近で辞めたのは数名ですから、定着率も高いです。人が辞めずに成長すれば、それだけでサロン事業も成長します。
西:私は、前職で携帯ショップ2400店舗、住宅相談カウンターを180店舗くらい管理してきました。その中で学んだのは、店舗ビジネスは「人」が全てだということ。よい人を採用することと、人が辞めない環境をつくることが大事です。
そのため、サロン事業でも、現場のスタッフにアンケートをして、その結果から抱えている不満や不安を察知し、積極的にフォローするようにしました。サロンに常駐しているオーナーや店長ではなく、少し離れたところにいる我々がアンケートをとっているところがポイントです。オーナーや店長には言えない本音を拾うことができます。その本音を環境づくりに反映しているから定着率が高いのです。
独立やフリーランス以外の選択肢を知ってほしい
坂本:美容師さんのキャリアは、これまでスタイリストとして結果を出して、店長を経て独立、もしくはフリーランスなどのパターンがほとんどだったと思います。でも、経営は簡単ではありません。またプレイヤーの美容師の方は経営が精神的苦痛になることも多い中、独立して、結果として借金だけ残ることもあります。
独立後、上手く言っているように見えて、オーナーが鬼のように働いて稼いでいるけれど、人が辞めるので店舗拡大できないというサロンも多いですよね。美容師の才能とサロン運営能力は別物です。だから、サロン運営の部分は私たちに任せてもらっています。
また、独立以外にも美容師さんが「働く意味」とか、「新しい可能性」を感じられるキャリアがあってもいいんじゃないかと思っています。たとえば、当社の執行役員になる美容師さんがいてもいい。マーケティングに興味があれば、マーケティング担当に抜擢するのもアリだと思います。美容師からエンジニアに転身したいという声があれば、それも応援したいです。
サロンワークをやりながら、別の職種にもチャレンジするというダブルワークも含めて自分のやりたいことを実現できる会社にしたいです。