売れている人は“イケてる自分”を楽しんで演出している」vetica内田聡一郎さん
インスタグラムやツイッターなど、SNSでの発信が消費者行動を大きく左右する昨今、
美容師も髪を切る技術はもちろん、「発信力」が必要とされるようになってきました。
ただし、やみくもに情報を発信するだけではお客さまは集まりません。
そこには、冷静な分析と緻密な計算による「自己ブランディング力」が必要なのです。
自己をブランディングするためには、まずは自分を見つめることから始まります。
そこで著書『自分のみつけかた』で自己ブランディングについて執筆したvetica・内田聡一郎さんに、“美容師のブランディング”の仕方をお伺いしてきました。
とにかく有名になりたい、それが美容師になったきっかけ
-著書『自分のみつけかた』の中で、自分自身を「目立たない子だった」と振り返っていらっしゃいましたが、目立たない子が美容師になった経由を教えてください。
学生時代は、これといって得意なこともなく、本で書いた通りにとても目立たない存在でした。小学校、中学校と野球部に所属していましたが、レギュラーになれるわけでもなく、かといって、ずっと彼女がいなかったとか、おしゃれにまったく興味がないというわけでもない。できがいいわけでも、特に悪いわけでもない、とにかくすべてにおいて中の中といった存在でした。俺自身は、“普通であること”にとてもコンプレックスを感じていて、いつか有名になりたい、名をあげたいとずっと思っていましたね。
美容師を目指している人は、「昔から髪をいじるのが好きだった」とか、「友達の髪をカットしてた」って人が多いと思うのですが、正直、そういうのは一切ありませんでした。とにかく有名になりたかったから、有名になれるのであれば、美容師じゃなくてもよかったんです。
-では、なぜ美容師を目指すことにしたのでしょうか?
高校の時、近所のピザ屋でバイトをしていたんですけれど、その近くにすごくおしゃれなサロンがあって、そこに通うようになったんです。スタッフたちがとてもおしゃれでしたし、担当のスタイリストさんに「美容師っていいよ」と言われたこともあり、高校を卒表してすぐにそのサロンに就職して、通信で資格を取りました。ただ、もともと美容師という仕事に興味があったわけではなく、「このまま美容師になっても楽しくないんじゃないか」と思って、3年経って資格が取れたときに一度、辞めてしまったんです。
-再び目指すことにした理由は何ですか?
美容師を辞めたあと、フリーターになって、そのあと契約社員として創作料理屋で働いていました。調理師の免許を取ろうと思ったんですが、それを両親に言ったら、「冗談じゃない。絶対に金なんか出さない!」と言われてしまって。そりゃそうですよね。美容師の免許が取りたいといって学費を出してもらっておいて、やっぱり調理師になりたいなんて。実際にお金もなかったので、「美容師をやるしかない」と覚悟を決めました。美容師をやるからには、東京に出て名をあげたいと思っていたので、就職先も決まらないまま、上京しました。