【坂巻哲也apish】還暦を迎えた今こそ語りたい。電車通勤中ウィッグでワインディング練習!? 24歳に悪性リンパ腫、闘病を支えたハサミの存在
カービングカットと好相性のハサミ
トカジ:こちらが坂巻さんがサロンワークでお使いになっているハサミですね。
坂巻:僕は主にドライでカービングカットなのでこちらのS2です。切れるハサミが一番好きなんじゃなくて、ある程度逃げて、毛先はしっかり切れるハサミ。マイクロソリッドが入っているので、最後にしっかり切り落とせる。カービングカットでしっかり束感を出していくんです。
トカジ:よく見ると、刃に星のアイテムがありますけど!
坂巻:僕は星が好きなんです。僕が作るデザインは「綺麗でかわいい」、それを「キレカワ」と表現しているんですけど、キラキラした星にも通じるものがあって。それでハサミの刃に星型でくり抜いたデザインが入っています。このハサミを作った当時は、刃に星型を抜くと弱くなったり割れたりして、このデザインを入れるためだけにS2さんが特別に器具を開発したという(笑)。ハサミの切れ味とか全然関係ないのにね(笑)
トカジ:あはは。それはすごすぎます!
坂巻:セニングは刃先が平らになりながらも、丸みを帯びているので逃げながら切れる。いわゆるレザーセニング的な感じで断面が出ずらい。ストロークとかもしながら切っていくので。
僕のお客さまで一流のバイオリニストの方がいらっしゃるのですが、「一流の人ってリズムがあるよね。坂巻さんのカットってリズムがあるよね」と。それ以来、その方とドラムの方とかとセッションしたことがあるんです。僕のハサミの音で、ドラムとバイオリンがセッション。それ以来、こういう音が鳴るハサミが好きになりました。他のお客さまからも「坂巻さんのハサミの音が心地いい」と言われます。もちろん会話もしますけど、今はコロナ禍なので、僕はハサミの音でお客さまの心を癒すというつもりで、時には早く、時にはゆっくりとワルツのように。演出とはパフォーマンスだけでなく、そこに切れる音が入ってきますから、音とリズムも接客の一つだと思っています。