あなたが完璧なカットをしていても失客する理由、教えます。
日本唯一のヘアライター佐藤友美(さとゆみ)さんは、誰よりも美容師さんの気持ちを理解してくれる美容師の母的な存在。
著書『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)の刊行をきっかけに、一般女性を対象としたイベントやセミナーを全国で行い、女性たちが胸に秘めているたくさんの本音に驚かされたそう。
その気づきをもとに、お客さまと美容師の間にあるギャップを埋めるために書かれたのが最新著書『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)。さとゆみさんはこの本を通じて、美容室が単に「カットをしてもらえる場所」ではなく「自分の人生を応援してくれるかけがえの場所」であることに気づいてほしいと訴えています。
今回は、美容師さん向けに「ばっちり似合わせたはずのお客さまがなぜリピートしてくれないのか」を徹底解説。女性たちの本音をわかりやすく通訳してくださいました!
(1)似合っているのに気に入らない!のナゾ
一般女性向けのトークイベントで多い質問が「美容室でいつも失敗しちゃうんですけれど、どうしたらいいですか?」というものです。でも、そういう質問をされる方に限って、髪型を見ると上手にカットされているんです。
クセ毛をうまくおさめていたり、顔型を上手にカバーしていたり「似合わせ」だってばっちり。これを「失敗」と言われたら、美容師さんはやってられないだろうなというくらい、客観的に見たら、ちゃんと成功しているんですよね。
技術的には失敗していない。その人にもちゃんと似合ってる。でも、本人は失敗したと思っている。ここではじめて、女性には「似合っていても気に入らない」という現象があること、そしてたくさんの人がそれに悩んでいることに気づきました。
「似合っているのに気に入らない」。どうしてそんなことが起こるのでしょうか。それは、「似合う」には2つの要素があるからです。
「似合う」というと、女性の99パーセントは、「顔型や髪質に似合うこと」をイメージします。美容師さんも、「似合わせ」というと、この顔型や髪質への似合わせを想像することが多いのではないでしょうか。この似合わせはもちろん、重要です。
ただ、これだけでは十分ではありません。顔型や髪質に似合うことと同じくらい重要なのが「自分の心に似合う」ことなのです。
例えていうなら、どんなにその女性に似合っている前下がりボブでも、その女性が若く可愛らしく見られたいと思っていたら、「似合っているのに気に入らない」現象が起こってしまうというわけです。
美容師さんは髪のプロだから、顔型や髪質を見れば、その人にどんな髪型が似合いそうか、すぐにいくつも思いつくと思います。
でも、エスパーではないから、その女性がいま、どんな自分になりたいか。その心への似合わせはカウンセリングで引き出さないと、絶対にわかりません。
この両方への似合わせがそろって、はじめてお客さまは満足してくれるのです。