圧倒的な経験値を誇る技術と知識で、ヘアカラー最前線をひた走る「酒井元樹」のクチュールテクニック。

お客さまからのオーダーは完璧に仕上げる。それが美容師としての使命

 

 

ブリーチを攻略してからは、海外のインスタグラムを参考にしながら、新しいデザインカラーに挑戦。やがてインスタグラムで発表した、あるデザインカラーをきっかけに、飛躍的に知名度を上げることに。それは多色使いの幻想的なデザインカラーで、カラー剤とカラーバターをかけ合わせた、それまでにはない画期的な手法で作られたもの。淡い色彩をコントロールするセンスと、クオリティの高さを持つ美容師として、業界内から一目置かれ、瞬く間にフォロワー数も増えていきました。

 

やがてハイライト、バレイヤージュ、エアタッチという最新カラートレンドの波に乗り、一躍トッププレイヤーとして頭角を表した酒井さんは、フリーランスの道へ。講習活動もスタートさせ、活躍の場も国内外へと広がりました。

 

「お客さまの希望は、絶対に叶えたいという気持ちが強いんです(笑)。新規のお客さまに対しても、一発目から完璧な仕上がりに持っていく。美容師さんによっては傷ませないために段階的にブリーチを行う人もいますよね。でも僕はブリーチに関してはあらゆるデータがあるので、どんどん攻めていきますよ。来ていただいたからには、必ず感動してもらいたいので」

 

 

ケアブリーチがヘアカラー文化を変えてくれた!

 

「ひと昔前は、ブリーチを希望するお客さまを、美容師側が阻止することもありました(笑)。それだけブリーチは確実に傷むという認識があって、気軽にすすめられなかったんです。でも最近はケアブリーチの登場で、ファッション感覚でヘアカラーを楽しめるようになりました。ブリーチで明るくした後で、また暗くするものアリ。トーンも自由自在に楽しめる時代なんです」

 

ヘアダメージの原因は、ブリーチだけではない、と酒井さんは力説する。髪のツヤ感を出していくにはカラーとカットを連動させながら仕上げていくことが大事。奥行き感を出したカラーに対して、枝毛を丁寧に処理したり、色味が映えるスタイルに仕上げるなど、素材の持つ美しさを際限なく引き出すことにこだわっているそう。

 

「ブリーチで膨潤させているときは、髪はとてもデリケートな状態にあります。またブリーチ剤ではなく、ブリーチ中のコーミングによって傷むと個人的には考えているので、塗布後は必要最小限しかコームを使いません。コームを使わない代わりに、揉みこみます。それに刷毛で作業するときも必要分だけを的確にとって素早く塗る。反応速度を計算しタイム差を導き出しながら、施術工程や薬剤の無駄を省くようにしています」

 

酒井さんは、仕事を丁寧に美しく進めていくこともテクニックの一つだと心得ています。「もし薬剤を浸透させるためにコーミングする必要があるなら、最初からスライスを薄く均等にとればいい」と言います。カラー剤を「多め」に塗布することはなく、必ず適量で。カラー剤の重みによって液ダレしたり、ホイルがずり落ちたために、色が混ざることもあります。

 

そんな酒井さんのカラー技術を仰ぐ美容師も少なくはなく、セミナー講師として日本全国で活躍中。最近では美容師仲間である京極琉さんが率いるKGアーティストとしての活動、自身のサロン「iLe」オープンなど、今後の展開にさらに注目が集まりそうな予感。

 

 

プロフィール
酒井元樹

新潟県出身。長岡美容専門学校卒業後、上京。26歳から独学でヘアカラーを研究し、独自の理論を確立。やがて講習活動もスタート。35歳でフリーランスとして独立後は、サロンワークの拠点を池袋から表参道へと移し、月150人の新規客を担当。インスタグラムは多くの美容師からフォローされ、美容師に向けたインスタライブも好評。2020年6月、西村涼氏と共に表参道に自身のサロン「iLe」をオープンする予定。

 

(取材・文/QJナビDAILY編集部)

 

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