閃きの源はポップカルチャー RUNO/HARAさんのジェンダーにも時代にも捉われない頭の中を覗いてみた ―トレンドメーカーの「ブレイン解剖」―
トレンドの一歩先を行くクリエイティブを生み出す美容師は、どんなヒトやモノにインスパイアされるのか。クリエイティブな感性を持つ人たちに直撃取材し、紐解いていくのがこの企画「ブレイン解剖」です。
今回は、都内有数のクリエイティブサロンRUNOのスタイリストHARAさん。HARAさんの作るジェンダーレスなスタイルは、地毛に近いカラーでセットもナチュラル。無理に着飾っていないし、媚びてもいない…なのに、その人の可愛さの最大値が引きだされていて、数多のスタイルが投稿されるSNS上でも目を引きます。
そんなHARAさんが美容師になった経緯から、会えば一瞬でファンになってしまうユニークな雰囲気の源泉まで、詳しく伺いました。
型にはめられたくない美容師さん、必見のインタビューです。
Q.HARAさんってどんな人?
─大学中退から美容師の道へ! 父親譲りの超負けず嫌い
私、昔からめちゃくちゃ負けず嫌いなんです。
高校時代は身近にライバルのような存在がいて、その子に負けないよう勉強を頑張っていたので成績もかなり良い方でした。推薦で地元の大学に進学したのですが、そこで同級生を見たときに「この世界で、自分は一番になれない」と思ってしまったんですよね。この子たちと一緒に社会人になったら、私は勝てないかもしれない、と感じたんです。
「じゃあ、自分は何なら勝てるんだ?」と考えたときに、思いついたのが美容でした。私には姉が二人いて、昔から姉の髪をスタイリングしたり、趣味で自分や友だちの髪を切ったりしていたんです。小さいころから、美容への興味は誰にも負けていなかったと思います。
今思えば、この負けず嫌いな性格は父親譲りかもしれません。父は旧車専門の整備士をしている人で、実家は車屋さん。美容師にならなかったら、自分もそっちに進んでいただろうなと思います。モータースポーツが大好きで、よくサーキットにも連れていかれていました。勝ち負けがはっきり出るものにたくさん触れて育ったこともあってか、とにかく順位が出るものは誰にも負けたくないんですよ。
―猛プッシュでRUNOの新卒第一号に
大学を中退後、美容学校に入学してからも負けず嫌いを発揮していましたね。コンテストも作品撮りも全力で、自分で言うのもなんですが、周りから一目置かれているような存在だったと思います。就職活動のときには先生や友達から、「HARAちゃんは絶対に第一志望に入れるよ」と言われていたくらい。でも私、行きたかったサロンには落ちてしまったんですよ。そこに入るためにずっと頑張っていたので、正直、もう美容師になるのを辞めようかと思うくらい落ち込みました。
そんな私に、友人が教えてくれたサロンが出来たばかりのRUNOだったんですよ。一度お客さんとして行ってみた時に、担当してくださったのが月田さん(月田由未さん)でした。今、私の師匠にあたる方です。月田さんの人柄やセンスに惹かれて、この人と働きたい、と思いました。
新卒を募集しているかどうかもわからずダメもとで連絡をしたら、面接をしてもらえることになったのですが…。RUNOは当時から技術もセンスもある素敵なサロンでしたが、いわゆる有名店ではなかった。周りがどんどん有名店から内定をもらっていたことへの悔しさもあったので、「このお店を絶対に有名にするので私を入れてください」「絶対にここでいろんな人を幸せにできる美容師になります!」と猛烈にアピールして、新卒第一号になりました。
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