あの人も、くすぶっていた時期を乗り越えてきた! 人気サロンの美容師が語る「逆転美容師人生」

 

 

目覚しい勢いで活躍している注目の美容師は、スタートから順風満帆なキャリアを歩んでいる気がしてしまいますよね。でも、そんな人気美容師も、実はたくさんの悩みやくすぶっていた時期を乗り越えて、今があるのだそう。

 

そこで今回は人気サロンで活躍する美容師3名に、自身がどんなことでくすぶっていたのか、それをどう乗り越えたのかについて伺いました。

 

<目次>

>自分の売りが見つからず苦悩も。マーケティングと先読み力で確立した、唯一無二のスタイル-iki TENDOさん

 

>理想と現実のギャップに撃沈…尊敬できる師と出会い、目標への道が見えるように-Dimo& 浅倉一馬さん

 

>一時は辞めることも考えた!? 代表の助けと思いを胸に、誰かのために働く美容師へ-Violet 上野大輔さん

 


 

自分の売りが見つからず苦悩も。マーケティングと先読み力で確立した、唯一無二のスタイル-iki TENDOさん

 

——これまでの美容師人生で「つまずいたな」「くすぶっていたな」と思う経験を教えてください。

大阪から一念発起して上京した半年後、Belezaでスタイリストデビューしてすぐのときです。やる気はあったのですが、自分が何を売りに打ち出していくべきか分からず、もがいていました。

 

当時は外国人風のハイライトやグラデーションカラーが流行っていて、僕もそのテイストが好きだったのですが、SNSでは既にそのような投稿が飽和状態にあったんです。そんな中、まだInstagramのフォロワーが1,000人程度だった僕では、注目を集めることもできず…。また、スタイル写真をInstagramにアップしようにも、上京したてでまだ知人が少なかったためカットモデルも見つからず、あまり写真を用意できません。どうしたら美容師として注目され、お客さまの支持を集められるのか、分からずにいました。

 

——その状態からどのようにして“逆転”したのですか?

とにかく糸口を求めて、技術だけでなく、本やYouTubeでマーケティングの勉強をし、次に何が流行るのかを考えました。そのときちょうど芸能界では、有名な女優さんたちがこぞってショートにしだしていると気づいたんです。それで「これだ! 次はショートが流行るぞ!」と。そう思ってInstagramやホットペッパーでショートのスタイリングのリサーチをしてみました。そうしたら、他の美容師さんが打ち出しているショートは、丸っこくかわいらしいデザインばかりだったんです。

 

僕は美容師になってからずっと「かっこいいデザインを作りたい」と考えていました。でも、どうしたら他の人と差別化した自分の「かっこいいデザイン」を作り、打ち出せるのか分からずにいた。だからこのとき、「かっこいい女性にウケる、クールなショートを作ろう!」と決意しました。

 

それからは毎日、ショートカット限定でカットモデルにご協力いただいて、出勤日は営業後に4人、休みの日は最低でも10人は切りました。そのためのモデハンは寝る間も惜しんでやっていましたね。終電まで駅の周りなどで声をかけて、終電後は街中に行って、街にも人がいなくなる午前2時頃になったらクラブに行って…。とにかく人のいるところに行って、ショートにさせてくれそうな女性や、クール系の服装でショートの女性をターゲットにひたすら声をかけ続ける毎日でした。

 

また、ただカットするだけでなく、Before・Afterの写真やモデルさんの属性などを「振り返りシート」に記録していきました。当時のシートは今でも保管しています。

 

先輩が作ってくれた「振り返りシート」。大量にコピーしては書き込み、自身の求めるショートの確立に役立てていた。

 

そうしてとにかく数をこなして模索していくうちに、やっと納得できる自分のスタイルを確立。そこからはInstagram投稿用のスタイル写真を撮り溜めるように、さらにモデルのカットを続けました。

 

ショートを追求し始めてから約3カ月したころ、一気にショートを押し出そうと、Instagramにスタイル写真を12枚同時に投稿しました。12枚揃えることで、スマートフォンでプロフィール画面を開いたときに、かっこいいショートカットだけが目に入るようになります。それによって「かっこいいショートの人」と自身のイメージを改革したんです。このとき、呼びやすいネーミングがあったほうがキャッチーだなと思ってつけたのが「ハンサムショート」です。

 

——その後、ご自身の生活はどのように変わりましたか?

写真を投稿し続けていたらいきなり新規顧客が増えて、それまでは1日の対応人数が2人程度だったのが、一気に15人くらいになりました。もちろんうれしかったのですが、いきなり増えたことで余裕がなくなってしまって…。うまく立ち回れずお客さまをお待たせしてしまうこともありました。それでも再来してくれる方が多くてありがたかったです。

 

でも一度バズったことで、「一発屋で終わってしまうんじゃないか」という不安が生まれました。実際どんどんショートがうまい人は出てくるし、そういう人たちにInstagramのフォロワー数を抜かされると焦燥感でいっぱいになってしまって。どうにか周りと差別化しようと考え、今度はもともと得意だったデザインカラーをハンサムショートに組み合わせて打ち出しました。すると、デザインカラー=ロングヘアの印象が強かった市場で、ショートのデザインカラーはすごく目立ち、唯一無二のスタイルを確立できたんです。

 

——この出来事で、自分自身の考えや行動で変わったことを教えてください。

上京したてのころは、なんでも気合いでどうにかなると思っていました。でも、ハンサムショートを生み出す過程で、頭を使い、先を読み、今やるべきことを見極めて、愚直にやり続けることが大切なんだと学び、自分の生き方でも意識するようになりました。

 

もっと早く気付いて行動していれば、今とは違う未来が待っていたかもしれません。でも、あのもがいた時期があるからこそ、悔しさや辛さが糧となり、今があると思うんです。なので、過去の自分に「諦めなくてよかったな」と感謝しています。

 

——今、うまくいかないと悩んだり、落ち込んだりしている若手美容師さんへ、応援のメッセージをお願いします。

世の中には不可能なことなんてありません。自分で無理だ、できっこないと思い込んでいるだけなんです。自分を信じて、頭を使い、愚直にやり続ける。これで人生は飛躍すると、僕は思っています。自分のことを、自分が一番に信じてあげましょう!

 

<プロフィール>

 

 

iki

代表/TENDO(てんどう)

1994年生まれ、大阪府出身。上京後、「ハンサムショート」を発案。ショートスタイルでのデザインカラーのパイオニアとして、平均指名売上は月500万を超える。24歳でikiを立ち上げたのち、26歳で買収し完全独立。業界最速の独立後3カ月で、美容師版ミシュラン「カミカリスマ」を受賞。業界誌やヘアショー、セミナーなど活動は多岐に渡る。Z世代美容師代表として業界誌の表紙を飾るなど、今後の活躍も注目の若手プレイングオーナー。

 

>入社1年目で、想像していた美容師像とのギャップに目標を見失ってしまったDimo& 浅倉一馬さんが、目標を取り戻せたきっかけとは…?

 

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